レバレッジ型のイメージは「圧力鍋を使った料理」

投資の世界で一般的なレバレッジという取引・運用手法について、理解をすることは当然重要だ。ネット証券では、FX(外国為替証拠金取引)、信用取引、先物・オプションなどのサービスも展開しているし、過去を振り返れば、これらの商品やサービスで幾度となく深刻な問題も起きている。投資家保護の継続的な議論はむろん欠かせないが、少ない元手で高いリターンを追求することが何を意味するのか、投資家側もそのリスクについて十分に理解する必要がある。また、別の見方をすれば、効率的な運用を可能にするという点で、レバレッジは有効である。

そこで筆者は、個人投資家向けのセミナーで、レバレッジ型投信のことを「圧力鍋で料理をするイメージ」と伝えている。圧力鍋は鍋を密封して圧力を加え、沸点を上げることで短時間の調理を可能にする。とても便利だが、使い方を間違えると、料理が失敗に終わるどころか食材が全て無駄になる。

レバレッジ型投信も同じだ。十分な知識が無かったり、使い方を間違えたりすると、想像以上のスピードで含み損が膨らんでしまう。FXや信用取引のように追加証拠金が必要となることはなく、投資資金以上の損失が発生することこそないものの、資産形成の延長で広く一般投資家に勧められる商品かというと、やはり違う。

積立についても同様だ。レバレッジ型投信も、レバレッジのかかっていない通常のインデックスファンドも、積立の終盤フェーズで対象の指数が上昇しないとリターンは期待できないということに変わりはない。さらに、レバレッジ型は、株価指数が上昇と下落を繰り返す、いわゆるボックス圏相場だと「負の複利効果」が働いてしまい、基準価額が日々少しずつ下落してしまう。株式市場が一方向に動かないとリターンを見込みにくいのである。まずはこうしたレバレッジの原理原則について、もっと根気強く啓発すべきではないだろうか。