南アフリカ・ランドの魅力とリスク

南アフリカの通貨は「ランド(ZAR)」といいます。銀行の外貨預金や証券会社などで販売される外国債券に多く採用されているため、見かけたことがある人も多いでしょう。

南アフリカ・ランドは高金利通貨としても知られています。今年の5月に政策金利を4.75%に引き上げており、現在も変わっていません。マイナス金利の状況が続いている日本から見るとうらやましいような金利水準ですね。上述した外貨預金なども同国の金利を反映した高利回りがうたわれていると思います。

しかし、金利差がそのまま利益にならない点が外貨の難しいところです。南アフリカの高金利はインフレを抑制する意味合いも大きく、同国の2022年5月CPI(消費者物価指数)は6.5%を記録しました(前年同期比)。政策金利からCPIを引いた実質金利はマイナス圏であり、これは金利以上に通貨の価値が下落していることを意味します。これらを材料に南アフリカ・ランドが対円で下落すれば、見かけがいかに高金利であってもうまく利益を得られません。

もっとも、新型コロナウイルスの感染拡大以降、南アフリカ・ランドは対円でおおむね上昇基調にありました。今後も上昇する保証はありませんが、日本円では得られない利益のチャンスがあるかもしれません。

【南アフリカ・ランド/円の推移(月足 2017年6月~2022年6月)】

Investing.comより著者作成

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執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。