自由が失われる香港。ブレクジットの影響は限定的なロンドン。いまなお世界トップに君臨するニューヨーク

ニューヨーク、ロンドンに続く香港だが、中国が香港の民主化運動を弾圧するなどかつての香港の自由な風土が失われつつある。中国政府は、2020年6月に香港の統制を強める目的で「香港国家安全維持法」を導入した。司法の独立性も保たれておらず、多くの金融人材が香港から流出している事態が発生している。香港と共に金融センターとしての地位向上を争ってきたのがシンガポールだが、香港が金融センターとしての魅力を失いつつある今、シンガポールが香港の受け皿となる可能性も高い。

日本も香港の受け皿として、金融センターとしての地位上昇を狙う。東京証券取引所は国際競争力強化に向けて、東証1部、2部などの4市場をこの4月にプライム、スタンダード、グロースの3市場に再編した。ただ東証1部の多くがそのままプライムに移行するなど、目に見えるような大きな成果は出ていない。看板の掛け違いといった批判も多い。

ちなみに西ヨーロッパは、

1位:ロンドン
2位:パリ
3位:フランクフルト
4位:マドリード
5位:アムステルダム

と並ぶ。ロンドンが圧倒的な強さを誇る。当初はブレクジットも懸念されたが、影響は限定的だった。

北米でみると、

1位:ニューヨーク
2位:ロサンゼルス
3位:サンフランシスコ
4位:シカゴ
5位:ボストン

といった具合だ。やはり世界1位を誇るニューヨーク・ウオール街に勝るものはない。世界経済の中心として君臨し続ける。

また、東ヨーロッパと中央アジアに目を向けると、

1位:ロシア・モスクワ
2位:ポーランド・ワルシャワ
3位:トルコ・イスタンブール
4位:チェコ・プラハ
5位:カザフスタン・ヌルスルタン

が並ぶ。ロシアは、ウクライナ侵攻で欧米から経済制裁を受ける。貿易への打撃だけでなく、各国企業がロシアから事業撤退しており、さらなる景気悪化と金融市場としてのプレゼンスの低下は避けられないだろう。

中東・アフリカ地域はどうだろうか。

1位:アラブ首長国連邦・ドバイ
2位:アラブ首長国連邦・アブダビ
3位:モロッコ・カサブランカ
4位:南アフリカ共和国・ケープタウン
5位:南アフリカ共和国・ヨハネスブルク

の順番だった。オイルマネーで経済成長を遂げるドバイが1位にランクイン。ドバイはアフリカや中東の中心に位置し、金融市場としての魅力も高まっている。

地域にしぼってみると、意外な国も多くランクインしており興味深いだろう。世界三大金融市場だけでなく、地域から見える金融特性について考えてみるのも面白い。世界情勢が目まぐるしく変わる中、急成長を遂げるライバルに果たして日本は太刀打ちできるのか。さらなる変革が求められる。

執筆/招福亭たぬき
金融、経済ライター。マクロ経済や金融全般の執筆に定評がある。仕事を通じ金融の面白さに気づき、日々勉強中。最近ではつみたてNISAやiDeCoなど自身の資産形成にも関心を広げている。将来、活動の軸をYouTubeやInstagramに移し、いつかFIREを実現したい…と夢見る