世界の金融街といえば、アメリカ・ニューヨークのウォール街、イギリス・ロンドンのシティ、日本・東京の兜町を思い浮かべる人が多いだろう。世界三大金融市場とも言われているが、国際金融センター指数(GFCI:Global Financial Centres Index)の興味深いデータがある。これによると最新版で1位に輝いたのはニューヨーク、2位がロンドン、3位は香港で、東京は9位だった。世界的にもニューヨーク、ロンドン、香港を世界三大市場と捉える動きが主流となって久しい。日本の国際金融センターとしての地位向上は果たして可能なのか。世界各地の市場を紐解きながら日本の取り組みを追った。

国際的地位が低下する日本の金融センター指数

国際金融センター指数は世界各国の金融取引で中心的な役割を果たす国際金融センターとしての競争力を評価する指標だ。英国のシンクタンク「Z/Yenグループ」などが、毎年3月と9月に公表し、世界中で注目が集まる。世界中の100を超える都市や地域が対象とし、事業環境や人的資本といったデータ分析と専門家への聞き取り調査を基に算出している。

今年の3月に第31回目となる最新版の国際金融センター指数が公表された。改めてトップ10を整理すると、

1位:ニューヨーク
2位:ロンドン
3位:香港
4位:中国・上海
5位:アメリカ・ロサンゼルス
6位:シンガポール
7位:アメリカ・サンフランシスコ
8位:中国・北京
9位:東京
10位:中国・深圳

の順番となった。相変わらずニューヨークとロンドンは国際金融センターとしての地位が盤石といえる。一方で、1980年代からニューヨーク、ロンドンと並んで世界三大市場と呼ばれていた東京だが、競争力は低下しており、国際金融センターとしての地位低下はこのランキングを見ても明らかだ。

ちなみにトップ10以下は次の通りだ。

11位:フランス・パリ
12位:韓国・ソウル
13位:アメリカ・シカゴ
14位:アメリカ・ボストン
15位:アメリカ・ワシントンDC
16位:ドイツ・フランクフルト
17位:アラブ首長国連邦・ドバイ
18位:スペイン・マドリード
19位:オランダ・アムステルダム
20位:スイス・チューリヒ

10位に深圳が入ったことでパリはトップ10圏外になった。ヨーロッパでトップ10入りしたのはロンドンのみだ。21位以下にはヨーロッパ諸国が多くランクインしており、ヨーロッパの金融センターはロンドン一強であることを物語っている。
以上が最新版の国際金融センター指数だ。