損失の申告も不可! マネーゲーム参加者の末路

日本海洋掘削はアスパラントグループからの出資を受け入れる際、それまでの全株式を無償で取得し消却しました。つまり、取引所などで同社株式を取得していた人は株主としての権利の一切を失ったのです。

上場廃止後に株式が無価値化した場合、損失をほかの利益と通算する「みなし譲渡損失の特例」を利用できるケースもありますが、日本海洋掘削のケースは条件に当てはまりません。従って同社の株式を上場廃止までに売却しなかった株主は、損失を損益通算に利用することもできませんでした。

日本海洋掘削のように破綻企業の株式はマネーゲームの場として扱われるケースが少なくありません。上場廃止事由にもよりますが、取引最終日が近づくにつれ株価には下押し圧力が働くと思われます。

これらの取引を一概に否定するわけではありませんが、売買には慎重になるべきでしょう。少なくとも取引所の最終売買日までに手じまうようおすすめします。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。