最終株価24円? 破綻企業に値段がついた理由

日本海洋掘削が会社更生法を申請した即日、取引所は上場廃止を決定し、およそ1カ月後の2018年7月23日を上場廃止日とする旨を発表しました。株価は急落しましたが、7月2日には一転してストップ高水準まで買われる場面がありました。

きっかけは日経新聞の7月1日の報道です。経営破綻した日本海洋掘削のスポンサーとして「日本郵船」の名前が浮上したとする内容で、上場廃止まで約3週間とやや時間的な猶予もあったことから短期的な資金が流入しました。

会社更生法が適用されると基本的に既存株主は権利を失います。つまり株式は紙切れ同然となるため、単純に考えると日本海洋掘削の株式を買う理由はありません。市場は大手企業による支援の下、会社更生法以外による再建を期待した可能性があります。

しかし当の日本郵船は7月2日に支援について決定していることはないと発表し、日本海洋掘削の株式は上場廃止が近づくにつれて再び値下がり始めました。31円で始まった最終取引日も株価は下落し、最後の取引価格は24円でした。

【日本海洋掘削の株価】

MINKABUより著者作成

拡大画像表示

結局、日本海洋掘削のスポンサーは投資ファンドを運営するアスパラントグループが務めます。2022年2月にアスパラントグループに対する第三者割当増資を実行し、出資を受け入れました。既存株主の思惑とは外れましたが、日本海洋掘削は再建への切符を手に入れたことになります。