・GHQが根負けした日本の“ある集団” 原爆投下わずか4年で復活したもの

「世界一貧しい大統領」として有名なウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領は1935年5月20日に首都モンテビデオで生まれました。

彼の名を世界に知らしめたのが、2012年にブラジルで開催されたリオ会議でのスピーチです。先進国による大量消費社会を批判したムヒカ氏の言葉は、世界中の人々に大きな影響を与えました。

彼の発したメッセージは地球上でウルグアイのほぼ反対側にある日本にも届き、多くの日本人が共感しています。ムヒカ氏の哲学にはコロナ禍に振り回された私たちが、再び力強く生きていくヒントが詰まっているのです。

リオ会議でのスピーチ

2012年6月にリオデジャネイロで行われた国連の持続可能な開発会議(通称リオ会議)では自然と調和した人間社会の発展や貧困問題について話し合われました。そこで登壇したムヒカ氏は次のような言葉を全世界の人に向けて投げかけたのです。

「ドイツ人が1世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てば、この地球はどうなるのでしょうか。私たちが呼吸できるだけの酸素は残されるのでしょうか?」

「私たちは発展するために生まれてきたのではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです」

ムヒカ氏は世界が共有する危機は環境問題ではなく、政治の問題であると主張します。資本主義社会の果てしない消費のサイクルを変えていかない限り、問題は解決しません。私たちはよく「グローバル化」という言葉を耳にしますが、実際には世界の諸事情をつぶさに知る機会はあまりないのではないでしょうか。そのために自分たちに不都合な事実からは目を背け、解決するはずのない抽象的な議論をしていたのかもしれません。

リオ会議でのムヒカ氏の言葉は、先進国の人々にとって耳の痛いものばかりでした。

「貧乏とは少ししか持っていないことでなく、いくらあっても満足しないこと」

ムヒカ氏の強烈なメッセージは、「人生で一番大切なものは何か」「本当の豊かさとは何か」という人生の本質を考えるきっかけを与えたのです。