日本人へのメッセージ

コロナ禍の2020年に公開された映画『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』では、2016年に来日したムヒカ氏の様子が描かれています。

ムヒカ氏は子どもの頃からウルグアイに移住した日系人との交流があり、彼らから花の栽培を教えてもらったそうです。そのため、日本人の文化や精神性をとてもよく理解しています。

東京外国語大学での講演では、ムヒカ氏から熱意あふれるメッセージが日本の若者に贈られました。彼は「人生で一番大切なのは成功することでなく、歩むこと」と言いました。「刑務所に入っても、出所すればやり直せる。仕事を失っても、それで人生が終わるわけではない」。「歩むこと」とは、「今の自分にできることを愚直にやっていくこと」という意味のようです。

日本には近年のコロナ禍の影響から消費が冷え込み、経済的に苦境に立つ人がたくさんいます。また、ガソリン代の高騰や円安による諸物価の値上がりで、国民全体の生活が苦しくなっています。失業や収入減少などで必要以上にダメージを受けてしまうのは、物にあふれた生活に慣れてしまっているから。また、自分と他人を比べてはいないでしょうか。

ムヒカ氏は、あるインタビューで「人生で後悔があるとすれば?」という問いに対し「子どもがいないこと」と答えています。本当に大切なものや価値のあるものは、お金では買えないのです。私たちは自分が持つ真の財産に気付かないだけかもしれません。

執筆/松田聡子

明治大学卒業後、ITエンジニア、国内生命保険会社での法人営業を経て、2007年より独立系FPとして開業。コンサルティングの他、企業型確定拠出年金講師や執筆活動に従事。人生100年時代を最後まで自分らしく生きるためのお金のアドバイスと情報発信がライフワーク。日本FP協会認定CFP、DCアドバイザー、証券外務員二種。