・楽天ポイント「改悪」に“過去最大”赤字…それでも会員数爆増の理由

日本がWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に優勝し、野球に注目が集まっています。野球は既に多くの企業やスポンサーが参加する主要なスポーツですが、WBCでの活躍を受け、今後のさらなる発展を期待する声が聞かれるようになりました。

WBCの強豪といえば、カリブ海の国や地域を思い浮かべる人は少なくないでしょう。中でも「プエルトリコ」は決勝ラウンドの常連で、2013年と2017年に連続で準優勝しています。2023年大会は惜しくも準々決勝で敗退しますが、WBC史上初の完全試合を達成したチームとなりました。

そんなプエルトリコですが、実は経済でも世界的に注目されたことがあります。WBCで2度目の準優勝を果たした2017年の5月3日、プエルトリコがアメリカの地方自治体(※)として過去最大の負債を抱え破産手続きを開始したのです。

プエルトリコに何が起こったのでしょうか。当時を振り返ってみましょう。

※プエルトリコはアメリカの自治連邦区という政治的地位

8.4兆円の債務を残し破綻

プエルトリコは、2000年代後半から経済の悪化が目立つようになりました。背景には、プエルトリコに対する連邦法人税の優遇措置が1996年から段階的に廃止され外国籍企業の撤退が相次いだこと、リーマンショックによる世界的な景気後退のあおりを受けたことなどが指摘されています。

【実質GDPの推移(2004年末=100)】

IMF「世界経済見通し(2022年10月)」より著者作成

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【失業率の推移】

IMF「世界経済見通し(2022年10月)」より著者作成

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経済の悪化に伴い、プエルトリコ自治政府の財政も逼迫するようになります。2014年には主要格付け機関が財政悪化を理由にプエルトリコ債をジャンク等級に格下げしました。

そして2015年、ついにプエルトリコで公的債務の返済が滞り始めます。これを受けアメリカ本土で「プエルトリコ監視・管理および経済安定法 (PROMESA)」が2016年6月に成立し、プエルトリコは同法に基づいて債務処理が行われることとなりました。

プエルトリコは2017年5月、約740億ドル(当時の為替レート1ドル=113円で約8.4兆円)にも上る債務を抱え、破産手続きを開始します。これはアメリカの地方自治体の破産としては過去最悪の規模でした。

【主なアメリカの地方自治体の破産】
・プエルトリコ(2017年5月):740億ドル
・ミシガン州デトロイト市(2013年7月):180億ドル
・アラバマ州ジェファーソン郡(2011年11月):42億ドル
・カリフォルニア州ストックトン市(2012年6月):10億ドル
・カリフォルニア州サンバーナディーノ市(2012年8月):5億ドル