相次ぐ自然災害に人口流出…カリブの楽園の厳しい現実

プエルトリコは、債務のうち約330億ドルを約74億ドルにまで減らす債務再編計画を提出し、2022年1月に承認を受けます。同年3月に再編計画が発効し、プエルトリコは実質的に財政破綻状態から脱しました。

しかしプエルトリコは厳しい状況が続いています。破綻手続きの開始以降、同地域はハリケーンや地震といった自然災害が相次いで発生し、深刻な被害が生じました。プエルトリコは、財政再建を進めつつ災害からも復興させるという困難な状況を強いられています。

【近年発生したプエルトリコの主な自然災害】
・2017年5月:プエルトリコの破産手続き開始
・2017年9月:大型ハリケーン「イルマ」「マリア」が相次いで襲来
・2020年1月:地震が頻発し、非常事態宣言を発出
・2022年3月:再編計画が発効し、財政破綻状態から脱却
・2022年9月:大型ハリケーン「フィオナ」が襲来

自然災害は、人口流出の要因にもなっていると指摘する声もあります。プエルトリコはもともと景気の悪化に伴って人口の減少傾向が顕著だったところ、相次ぐ自然災害で米国本土へ移り住む人が増えているようです。2004年に380万人以上あった人口は2021年に約312万人にまで減少しました。人口の流出は今後も予想されており、2025年には300万人を割り込むと考えられています。

【プエルトリコの人口】

IMF「世界経済見通し(2022年10月)」より著者作成

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債務の大幅な削減で再出発を図ることとなったプエルトリコですが、その道のりは険しいものになりそうです。