半導体って何? なぜ不足しているの?

半導体とは物質の電気的な性質を表した言葉です。「絶縁体」は抵抗(オーム)が大きく電気をあまり通さない物質のことで、その反対の性質を持った物質を「導体」といいます。半導体は絶縁体と導体の中間の性質を持った物質を指し、シリコンやゲルマニウムなどが代表的です。

そしてニュースなどで言及される半導体は、これら半導体を利用した「半導体製品」を指すケースが多いでしょう。エルピーダメモリが製造していたDRAMなどがそうです。

半導体製品にはさまざまな種類があり、パソコンやスマートフォンといった精密機械から一般的な家電製品、自動車といった多様な製品に組み込まれています。私たち消費者が半導体製品を直接買うことは少ないでしょうが、間接的には必ずといっていいほど手にしているでしょう。

そんな半導体製品ですが、近年は世界的に不足しています。必要な半導体製品が手に入らないことから、多くの製品で生産の減少や遅延などが出てしまいました。どうしてこのような状況になっているのでしょうか? 一概には言えませんが、半導体製品は生産を簡単には増やせないことが理由の1つでしょう。

半導体製品を作るためには非常に多くのプロセスを踏まねばならず、総工程数は400~600にもなります。しかも半導体製品は非常にデリケートで汚損を防ぐ施策が欠かせません。そのため工場はどうしても大規模なものになりやすく、資金繰りの懸念から設備投資に慎重になるケースが多いでしょう。

また半導体製品は一般的に価格変動が大きく、エルピーダメモリもDRAM価格の変動に苦しめられました。仮に半導体製品の需要が増えても価格が落ちれば売り上げは伸びません。また海外の売り上げが多いため為替の影響も考える必要があります。長期的な事業の予測が難しい点も、半導体製品メーカーが設備投資に及び腰な理由でしょう。

これらの理由から、足元で需給が逼迫している状況にあっても半導体製品メーカーは簡単には生産を増やせないのです。半導体製品の不足はしばらく続く可能性があるでしょう。