暗号資産は投機的トレードが大半だが、分散投資狙いも増加

暗号資産が法定通貨の代替として、通貨の役割を果たせるのかどうかという議論は以前から行われていますが、現状、暗号資産を決済手段として保有しようという人は、ほとんどいないと思われます。そもそも、どの店舗でも自由に暗号資産による決済が出来るほど普及していませんし、何よりも価格のボラティリティの高さが、決済手段として使われるには高いハードルになっています。

結局、決済手段というよりも投機的なトレードに用いている人が大半を占めていると思われます。ただ、1点だけちょっと注目したいのが、投資ポートフォリオの一部に暗号資産を組み入れる動きがあることです。FCAの調査結果では、前回調査に比べて「ギャンブル」と答えた人の割合が9%低下する一方、「投資ポートフォリオ」と答えた人の割合が5%上昇したそうです。

暗号資産の値動きは、株式や投資信託など伝統的な金融商品の値動きと連関性がありません。つまり、伝統的金融商品と暗号資産を同時に保有することによって、分散投資効果が期待できると考えられます。

NRIの調査結果によると、暗号資産を保有している人で、株式、投資信託、FXのいずれかひとつでも保有している人の割合は67%という結果が出ました。これは、暗号資産をポートフォリオ全体のリスク分散を目的として保有する人が多いことを意味しています。また、暗号資産を保有している人の属性については、男性の比率が71%と高く、かつ保有者の平均年齢は42歳となっています。株式や投資信託の場合、保有者の平均年齢が50歳を超えているので、相対的に若い人が暗号資産を保有していることが分かります。

このようにNRIの「生活者1万人アンケート」を通じて明らかになった暗号資産の保有者像は、年齢的に比較的若く、男性が中心で、かつ株式や投資信託、FXといったリスク資産の運用経験者ほど、暗号資産に対して親和性が高いことが伺われます。とはいえ、暗号資産の保有率は1.7%に過ぎませんから、普及の度合いとしてはまだまだと言えそうです。