個人年金保険の返戻率、年利回りに換算するとどれくらい?
前編のiDeCoと個人年金保険の税制比較では、運用時はどちらも非課税なので有利不利はない、との話をしました。でも、よくよく考えると、運用については、両者には大きな違いがあります。ここまでで、ピンとくる方もいらっしゃるかもしれませんね。
言わずもがなかもしれませんが、iDeCoは自分で運用し、個人年金保険は保険会社が運用する、これが決定的な違いなのです。「知識も経験もないから、運用は保険会社に任せたい」、そんな風に考える人もいるかもしれませんね。それも一つの考え方だと思います。でも、結論を出す前に、客観的に個人年金保険の運用がどれほどのものなのか、少し確認してみましょう。
よく個人年金保険では返戻率(へんれいりつ)で人気商品がランキングされています。返戻率とは、払い込む保険料の総額に対して、一時金や年金という形でどのくらい受け取れるのかを表したもの。円建ての個人年金保険について、人気商品の返戻率をネットで確認してみると、60歳まで毎月払込、5年据え置いて、65歳から10年間年金を受け取る場合、保険料払込期間が20年だと返戻率は103.5%、30年だと105.8%でした。超低金利時代の今、103%や105%という水準はとても魅力的に映る、だから人気商品なのでしょう。
でも、よくよく考えると、この返戻率って20年や30年といった長い期間をかけて戻ってくる割合です。元本(がんぽん)以上が戻ってくるのは分かりますが、他の金融商品とは単純に比較はできません。それこそ、皆さんにもなじみの深い、年利回りにするとどれくらいになるのでしょうか。エクセルの簡単な機能を使って試算してみました。
先ほど紹介した個人年金保険の人気商品について、その返戻率を年利回りに置き換えてみると、払込期間20年で年利回りは0.21%程度、30年だと0.28%程度になりました。今、銀行に預けるよりは良さそうですね。でも、この程度の利回りなら、それほど大きなリスクを取らなくても自分でもできそうだ、そんな風に感じる方もいるかもしれません。皆さんはどのようにお感じになるでしょうか?