とても有利な運用手段に思える、拠出型企業年金保険とは?

最後に、私が様々な職場にお邪魔してライフプランセミナーで講師を務める際、iDeCoや個人年金保険とよく似ている商品として、拠出型企業年金保険のことを見聞きすることがあります。保険会社が提供する、いわゆる団体保険の一種で、ご質問やご相談があった際は、その都度、パンフレット等で商品内容を確認しながらアドバイスをしています。私自身、この商品の全てを知っているわけではありませんが、拠出型企業年金保険は「勤め先の保障」とも言えますので、老後資金準備の選択肢としては、「自助努力」としてのiDeCoや個人年金保険よりも優先的に検討すべきかもしれない、そんな風にも思っています。

というのも、まず、団体保険という性質上、保険会社も営業コストや広告宣伝コストを安く抑えられるので、年金商品としての予定利率が高めなのです。2021年1月加入の募集パンフレットで予定利率が1.25%という商品を2つ拝見したことがあります。そして、この予定利率に決算実績によって配当率が加算される、どちらのパンフレットにもそんな説明がありました。先ほど確認したように、個人年金保険の人気商品でも年利回りが0.2%程度ですから、現時点では、拠出型企業年金保険はとても有利な運用手段のように思えます。

また、税制上、この商品は個人年金保険とほぼ同じ。積立時の所得控除として、一般の生命保険料控除が適用されるケースもあるようですが、最大の違いは、所得控除の上限金額で「旧制度」が適用される、ということ。前編で、「新制度」は2012年1月1日以降の契約という説明をしました。ところが、拠出型企業年金保険は、団体としての契約日を基準にしているからだと思われますが、今、その職員や社員、構成員が保険契約しても、2011年12月31日以前の「旧制度」が適用され、所得控除の上限金額が所得税で5万円、住民税で3.5万円になるのです。つまり、iDeCoほどではないものの、個人年金保険よりも少しだけ節税額が増える、税制メリットが少しだけ大きな商品だと思えるのです。

繰り返しになりますが、私自身、拠出型企業年金保険に詳しいわけではありません。ですから、一般論と言うよりは、ライフプランセミナーでの参加者とのやり取りの中で、経験上、どうやら拠出型企業年金保険は有利そうな商品だと、そんな風に思っているだけです。ですから、皆さまがお勤めの職場で、団体保険の一つとして拠出型企業年金保険という商品がラインアップされているのであれば、ぜひ、「勤め先の保障」としてiDeCoや個人年金保険よりも優先的に検討してみたらよいかと思います。

そして、何よりも大切なのは老後資金準備のセオリーとして、皆さまにとっての「勤め先の保障」にはどんなものがあるのか、これをきっかけに今一度確認してみることです。意外とお得な商品や制度が他にもあるかもしれないですよ(笑)。ご参考になれば幸いです。

●「iDeCo vs 個人年金保険、これから始めるならどっちが正解?」前編はこちら