節税効果、企業型と個人型(iDeCo)の違い

前回のコラムで「確定拠出年金(DC)活用には税制面におけるメリットがある」とお伝えしましたが、今回はその税制面におけるメリット、節税効果についてもう少し詳しくお話したいと思います。

DCには企業型とiDeCoがあり、掛金の負担者が企業か個人かで分かれます。DC運用の仕組みはいずれも同じですが、節税効果は掛金負担者に対してあるため、企業型では基本事業主に、iDeCoでは個人にそれぞれ節税効果が生まれる点が異なります。なお、企業型DCの内、通称「選択制DC」と言われる制度を採用している事業主の場合は、実質的な掛金負担者は社員個人ですので、個人に掛金の節税効果が発生します。

具体的な「節税効果」として、企業型DCにおける事業主の掛金は損金算入が可能となりますし、iDeCoにおける個人の掛金は全額所得控除という大きな節税効果をもたらします。企業型DC・iDeCoでは掛金の拠出限度額が異なるという点もありますが、いずれも「自らの判断で運用することができる」および「老後生活資金に資する」という点では同じで、ほとんど大きな差異がないように思われます。しかし、運用という実行面にフォーカスすると、実はそこに大きな違いがあります。それは加入者の“意識”です。

新規にDC運用を開始する場合、企業型(選択制等を除く)の場合は、基本会社の制度として全員が加入、つまり自らの意志ではなく制度に加入・運用を開始するケースが大半ですが、一方のiDeCoはまさに個人の意思で加入・運用を開始される方が圧倒的に多いです。この意識の相違は加入者の運用スタイルや金融知識(=金融リテラシー)の違いとも関連性が強く出てきます。