「1日1回」の基準価額にはメリットもある

冒頭でも触れた通り、投資信託の基準価額は1日に1回のみの公表である。迅速な「タイミング投資」ができないことがしばしデメリットとして挙げられるが、実はこの基準価額の仕組みにはメリットもある。

1つは、約定日時点の基準価額での購入・解約が約束されるという点。これはつまり、需給に関係なく、投資家が取引をしたいと思ったタイミングで購入や解約ができるということを意味する。

もう1つは、1日1つの基準価額しか存在しないからこそ、あらかじめ設定しておいた日を積立日として自動的に買い付けができる、つまり、積立に向いているという点だ。iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAが、投資信託の積立を原則としているのには、こうした背景がある。

株式市場が上下に大きく動くと、いわゆるタイミング投資をしてみたいという欲が出てしまいがちになる。しかし、投資信託に関しては、まず基準価額算出の流れと約定日の関係性について理解を深めることが重要だ。特に、流行りの海外レバレッジ型への投資を検討する際は、仕組みをよく理解してからチャレンジしてほしい。