前払い退職金は見直すべし! 

そんな投資信託積立はどこですべきか。

結論を先に言いますと、企業型DCは優先的に考えたい候補です。そのため、現状の前払い退職金は見直した方が良いと言えます。

そもそも山川さんの受け取る前払い退職金は、老後の資金として残しておく原資です。お子さんのために貯金をほぼ使い果たした山川さんは、確かにある程度の現預金が必要ですが、万が一が起きた時は健康保険・厚生年金加入の傷病手当金や障害年金の制度の利用ができますし、あえて手取りを多く受け取ろうとしなくてもよろしいのではないでしょうか。

どうしても手取りを増やす必要があるならば前払い退職金として受け取るのも一案であるものの、今一度、企業型DCに加入されることを検討していただきたいところです。

投資信託の積立でお金を育てる場合、企業型DCの税制優遇メリットは非常に大きく、追い風になるシステムなのです。一度企業型DCに加入してしまうと前払い退職金に戻れませんが、前払い退職金から企業型DCへは、規約に定めがあれば加入が可能です。ぜひ担当部署に確認してみてください。

企業型DCの商品ラインナップ次第では、iDeCoの選択もあり!

ただ、もしも山川さんの会社の企業型DCの運用商品が魅力的でなければ、iDeCoを利用されるのもありでしょう。ただ、企業型DCの場合、口座管理手数料は会社持ちですが、iDeCoの場合は開設の費用と、毎月の口座管理手数料が掛かりますので注意は必要です。

企業型DCの掛金は最大5万5000円ですが、iDeCoは最大2万3000円です。iDeCoを選んだ場合、掛金を拠出した分までは年末調整や確定申告で税金(所得税・住民税)を取り戻すことができます。

山川さんは個別株をNISA口座で所有されていないようですので、iDeCoからはみ出した資金は、運用益非課税のつみたてNISAで運用するのも一つの方法です。つみたてNISAは、掛金全額所得控除の制度はありませんが、金融庁の基準に合った低コストの投資信託がラインナップされています。

令和4年5月より確定拠出年金の加入可能年齢引き上げが行われ、企業型DCは現行65歳から70歳まで拡大、iDeCoは現行60歳から65歳まで拡大されます。受け取り可能期間も令和4年4月より引き上げられ、75歳まで非課税で運用できます。

非課税で運用できる期間が長くなっていきます! 今の預金額を見て焦るのではなく、制度を活用しながらゆっくりと殖やしていきましょう。応援しています。

 

まとめ

●そもそも退職金は税金が掛かるもの
●前払い金退職金よりも、企業型DCのほうがおすすめ(担当部署に確認して、可能なら変更を検討して)
●資産形成の手段として、個別株も“あり”。でも、ベースに据えるのは投資信託の積立
●投資信託積立をする場合、企業型DCもしくはiDeCoを最優先で。さらに資金に余裕があればつみたてNISAを活用して