超長寿社会で私たちはライフプランをどう立てるか

あらためて先述の表2を見ていただくと、日本人の平均寿命が延び続けていることがわかります。

50年前と比較してみましょう。終戦から25年が経ち、日本経済が高度成長していた昭和45年(1970年)の平均寿命は男性が69.31歳、女性が74.66歳でした。令和2年の平均寿命が男性81.64歳、女性87.74歳ですから、男性は50年間で12歳も平均寿命を延ばしていることに気がつきます。

日本の健康保険制度や年金制度は、1960年代にできて1970年代にはより充実した制度へと改正されてきましたが、当時は出生率が高かったことに加えて、このように平均寿命が今と比べてずいぶん短かったことから、手厚い制度が可能だったと分かります。

日本の公的年金は終身年金ですから、平均寿命が延びることは一人あたりに支払う年金総額が増えることにつながります。

2021年4月には、70歳までの雇用継続を企業の努力義務とする「高年齢者雇用安定法」が施行されました。また、2022年4月からは、公的年金の受け取り開始を75歳まで後倒しできるようになります。このような制度改正が相次いで行われているのも、社会保険制度の維持のためには、より多くの人が現役で長く働き、老後の期間を短くすることが求められているからと考えられます。

個人のライフプランと社会制度は一見別々のものに見えますが、どちらもつながっています。今後もますます長寿社会となっていくことを想定して、社会のこれからの変化を見据えて準備をしておけば、制度が変わっても戸惑わなくて済むでしょう。

参照データ
令和2年簡易生命表の概況https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life20/index.html