「投資信託に関するアンケート調査」とは

「投資信託に関するアンケート調査」は、投資信託協会が毎年行っている調査で、全国の20歳~79歳の男女個人を対象に、近年はインターネットによって実施されています。

この調査では、投資信託の保有状況や特徴認知、満足度、積立投資の認知などを把握することと、投資信託保有未経験者層に対しては、非購入理由や購入検討のきっかけを確認することにより、「貯蓄から資産形成へ」の流れを促進するための課題を探り、今後の投資信託の利用拡大及び啓発普及活動に役立つ資料とすることを目的としています。

なお、注意点として、インターネットモニターは一般的に情報感度が高い事が確認されており、金融商品(投資信託)においては保有率や制度認知が郵送調査モニターなどに比べて高めに出る傾向にあることも報告書では触れられています。

最新の2020年(令和2年)の調査は、全国の20000人を対象に実施されています。こちらのデータから、近年の投資信託の状況や、年代・性別ごとの傾向などを詳しく見ていきましょう。

23.4%の人が投資信託を保有。その数は増加傾向

現在、投資信託を保有している人の割合は23.4%で年々増加傾向にあります。2018年は14.7%でしたが、2019年には22.3%に急増し、現在も増加傾向にあります。

保有割合がもっとも高いのは40代の20.2%で、60代が19.4%で続いています。全体に占める割合としては高齢層が多いものの、前年との比較で見ると20代、30代が増加傾向にあり、年代ごとの偏りが緩和傾向にあります。

図表1.投資信託の保有経験

図表2.投資信託現在保有層の年代構成

ともに、投資信託協会「投資信託に関するアンケート調査報告書」より

2人に1人が積立投資を利用。特に若年層に浸透している

投資信託現在保有層の積立投資利用率についての質問では、53.0%が「利用している」と回答しています。2018年が34.9%、2019年が42.4%と、積立投資の利用者がハイペースで増えていることがわかります。さらにその内訳については、積立投資は若年層ほど利用が多く、20代・30代では70%以上を占めています。

図表3.投資信託現在保有層の積立投資の利用率

投資信託協会「投資信託に関するアンケート調査報告書」より

コストについては「購入時手数料」の認知がもっとも高い

投資信託にかかるコストについての質問では、「投資信託購入時、購入時手数料がかかる」が40.6%でもっとも多くなっています。

図表4.コスト特徴認知

投資信託協会「投資信託に関するアンケート調査報告書」より

投資信託では、購入時、保有中、解約時と3つのタイミングで手数料が発生します。ただし、購入窓口や選んだ投資信託の種類によっては、3つ全てがかかるわけではありません。

今回の調査でもっとも認知度が高かったのは、購入時の「購入時手数料」でした。購入時手数料は、証券会社や銀行などの販売会社に支払う手数料で、1回だけかかります。例えば、購入時手数料が3%の投資信託に100万円を投資する場合には、最初に3万円が差し引かれるため、実際には97万円が投資されることになります。

購入時手数料は販売会社が自由に設定できるため、同じ投資信託であってもどこで買うかによって手数料率が異なりますし、「ノーロードファンド」といって、販売手数料がかからない投資信託もあります。

それに対して、保有中の「運用管理費用(信託報酬)」は、どの投資信託でも必要ですし、保有期間中にずっとかかるため、投資先を選ぶ際には、同じタイプの投資信託を複数比較して、手数料の低いものを慎重に選ぶ必要があります。

なお、解約時の「信託財産留保額」はかからない場合も多いため、他の手数料よりも認知度が低めであっても不思議はありません。なぜ、購入時手数料の認知もっとも高いのかを知るために、次の質問を見ていきましょう。