アンティーク金貨ならではのメリットとは
最後は価格について。下記のチャートをご覧下さい。ドル建て金価格は2013~2018年にずいぶんと価格が低迷しています。
ドル建て金価格(単位:米ドル)
一方のアンティーク金貨の代表である1911年ジョージ5世5ポンド金貨のオークション落札価格は、ずっと上昇トレンドを描いていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
1911年ジョージ5世 5ポンド金貨 PF66 CAMEO価格推移(単位:米ドル)
つまり、ドル建て金価格とアンティーク金貨の価格は連動していないのです。
2013年1月を比べてみてください。1600ドル台だったドル建て金価格は、現在1800ドルと1割ほどしか上昇していません。
一方の1911年ジョージ5世金貨は、2013年9月の8225ドルから2021年1月の60000ドルまで、7年強の間に約7.3倍にもなっています。
これは計算しますと、なんと年率30%の複利運用を7年強継続できたことを意味するのです。
ここで一つ注意が必要な点をお伝えいたします。落札価格推移は、1911年ジョージ5世 5ポンド金貨の中でも高鑑定である PF66 CAMEOだという点です(PFよりPF CAMEOの方が希少性が高くなります)。
先ほどの鑑定枚数表からもお分かりになるとおり、PF66 CAMEO以上の鑑定枚数は両鑑定会社合わせてもわずか20枚しかありません。
発行枚数のトップ0.7%にあたる高鑑定希少品は年率約30%で上昇していたのです。
金の時価総額は約1200兆円です。一方の金貨の時価総額はおおよそ30兆円前後ではないかと推測されています。40分の1の市場だからこそ、安定的に価格が上昇してきたのではないかと考えられます。
また、アンティーク金貨市場においては、いわゆる「投売り」を見たことがほとんどありません。基本的にはコレクターはみな長期投資を前提としているからであり、お金を借りてまで金貨に投資をしているわけではないからです。
アンティーク金貨のメリットはまだまだあります。
●不動産や投資信託・保険などと違って、保有時や保管の費用もまったくかかりません。
●絵画や書画のように湿度を気にする必要もまったくありません。
●持ち運びも大変便利です。
●税制(譲渡所得の所得税)も5年以上の保有の場合、金と同じく優遇されます。
金融資産に対して金の保有割合を考える場合、今後は欧州「アンティーク金貨」もその選択肢の一つにぜひ入れていただければと思います。