アンティーク金貨の価値はどう決まるか
今回は、あまり知られていない金の保有方法についてお伝えしたいと思います。それは、100年以上前に発行された欧州の金貨(アンティーク金貨)を保有するという方法です。
まず、金を保有する方法には一般的に
1.500g・1kgなどの「延べ棒」
2.メイプルリーフ金貨などのコイン
3.純金ETF(上場投資信託)
4.毎月3000円からの純金積立
5.ネックレスや指輪などのジュエリー
6.おりんなどの仏具
などの方法がありますが、基本的にはみな日々の円換算した金価格に連動しています。つまり、1200兆円もの時価総額をかかえるドル建て金価格の動向に日々左右されるわけです。
一方で、アンティーク金貨(一般的に100年以上前に発行されたもの)は金価格の動向にはほとんど影響を受けません。
アンティーク金貨の価格に影響を与えるのは……
①発行枚数
②鑑定枚数
③高鑑定枚数
④記念発行 or 通常発行
⑤(国王などの)肖像の有無
⑥デザインの素晴らしさ
⑦人気
⑧歴史的ロマンや背景
⑨プルーフ(鏡面仕上げ)・マット(つや消し)・MS(ミントステイト=通常貨幣)の別
⑩発行年が西暦で表示されている
⑪重量・直径・素材
が主なものとなります。
我が国では戦国時代から金貨が製造されました。特に武田信玄の甲州金が有名です。その後、小判や大判などが江戸末期まで発行され続けましたが、天皇や将軍の肖像が刻まれた金貨はまったく発行されてきませんでした。
その結果、世界的なオークションにおいて日本のアンティーク金貨の人気は長期に渡って低迷しています。
理由は簡単です。上記⑤⑥のとおり、小判はいくらピカピカでも天皇や将軍の肖像が刻まれておらず、デザイン性にも乏しく、保有したいというコレクターが世界にはほとんど存在しないからです。
さらには発行年が刻印されておらず、いつ製造されたかも定かではありません(⑩)。つまり人気がないんですね(⑦)。
一方でイギリスやフランスなど欧州の金貨は大変な人気があります。発行当時の国王の肖像が大きく刻印され、デザインも王冠や紋章など大変精緻で美しく、発行年も西暦でしっかりと記されています。
やはり人間は、美しいデザインや表情のある肖像が好きなんですね。
金融資産運用に35年携わってきた私がなぜこのように金貨について詳しいかといいますと……
小学校1年生の時、お小遣いを貯めて初めて買ったのが日本の明治時代の銅貨でした。小学校5年生の時には、「日本のコインの歴史」を夏休みの課題として書き上げた記憶があります。かれこれ50年間、趣味と実益を兼ねて国内外のコイン投資に魅せられ、どんどんのめりこんで行ったのでした。実は金融資産運用よりこちらの方の経験が長かったわけです。