ファイナンシャルプランナーとして20年前に独立をし、約40万人の方々にセミナーや講演会を通じてお話をしてきました。
そこでいつも大変気になるのが、ご自身の金融資産の状況を把握されていない方が極めて多いという点です。
私の経験上、おおよそ7割の方は、金融資産が今どのような状況になっているか(おおよその金額・預貯金の割合・外貨建て資産の割合・国内外の債券・株式・リートの割合等)を把握されていないようです。
さらに、ご自身やご家族の「金融資産・不動産・実物資産」の保有割合になりますと、明確に把握されていらっしゃる方はぐっと減ります。
不動産の場合、ご自宅だけという方も多く、金融資産に対する割合を比較的把握されているようですが、金などの実物資産になると多くの方が「見える化」をされていません(あるいは、そもそも所有していないという方も多くいらっしゃいます)。
そこで今回は、実物資産の代表である金、さらには「アンティーク金貨」について、保有すべき理由や推奨保有割合等について考えてみたいと思います。
インフレと円安に強い金
実物資産には、書画骨董、絵画などの美術品、ビンテージカーなど様々なジャンルが存在しますが、保管の費用や手間がかかったり、購入時や売却時の手数料が大変高かったり、流動性が大変低かったり、妥当な評価額に関する情報が不足していたりして、特殊なコレクター以外には、なかなか保有されている方が多くはないのが現実だと思います。
日本では、一般的に実物資産を金で保有される方が多いのではないでしょうか。
金価格は国内では1gあたりの円建て価格表示が一般的ですが、世界では1トロイオンスあたりの米ドル建て価格で表します。
1トロイオンス(=31.1g)あたり現在約1800ドル前後ですから、これを1gあたりに換算しますと、1ドル=110円として
(1800ドル×110円)÷31.1g=6366円/g となります。
さらに消費税込みではちょうど6366円×1.1=7000円/g。これが現在国内で金を1g購入する場合の価格となります。
お気づきになったかと思いますが、金というのは
●インフレ等により米ドル建て金価格が世界的に上昇した
●何らかの理由で円安になった
場合に、円換算の評価額が上昇します。つまり、金は「円安とインフレに強い」資産なのです。