コロナ禍で外食産業が厳しい中、ハンバーガーだけは好調!?

ビッグマック指数は、ハンバーガー※と経済を結ぶキーワードとして知られた存在ですが、ハンバーガーはコロナ禍の経済成長の手がかりにもなりつつあるよう見えます。

※厳密には牛肉のパテをバンズで挟んだもののみを指すが、ここでは牛肉以外の具材を挟んだものもハンバーガーとする

外食産業といえば、コロナ禍の影響を最も受けている厳しい業界ですが、大手外食チェーンが次々とハンバーガー店をオープンさせているのです。

まず、「ロイヤルホスト」や「てんや」で有名なロイヤルホールディングスは、2021年5月に「Lucky Rocky Chicken」をオープンさせました。目玉は、鶏むね肉をバターミルク液に一晩漬けることで柔らかさとうまみを出しているという「バターミルクフライドチキン」。そして主力商品が、そのバターミルクチキンをバンズで挟んだ「バターミルクフライドチキンバーガー」です。事前・キャッシュレス決済や出前館やmenu等のテイクアウト・デリバリーオーダー業者との提携など、まさにウィズコロナ時代に対応したシステムを採用するほか、ボックスやカップは環境に配慮した素材を使用するなど、時代にマッチしたサービス設計も話題です。

もう1つ注目のトピックは、居酒屋でおなじみ、あの鳥貴族グループのバーガー業態進出でしょう。2021年8月にチキンバーガー専門店「TORIKI BURGER」をオープンすることが発表されています。チキンや野菜だけでなく、バンズに使う小麦までも「国産」にこだわったバーガー専門店だそう。気になる方はサイトやSNSをチェックしてみてください。

コロナ禍で“バーガーが熱い”という例は、

●牛丼でおなじみの松屋が2021年4月にデリバリー専門店「米(my)バーガー/こめ松」をオープン(バンズの部分がライスの“和”なバーガーです)
●「ドムドムハンバーガー」を展開するドムドムフードサービスが、2021年7月にプレミアムハンバーガー専門店「TREE&TREE'S」をオープン予定

とまだまだあります。

ここで考えてみたいのは、なぜ「コロナ禍でバーガーが熱い」のか、ということです。

一つは、ソーシャルディスタンスがスタンダードになった結果、テイクアウトしやすいハンバーガーの需要が高まったことが考えられるでしょう。持ち運びやすく、多少冷めても味が落ちにくいバーガーはテイクアウトの代表格とも言える存在。その特徴がコロナ禍で重宝されていると言えそうです。

また、もう一つは私の仮説ですが、ついつい家で延々と仕事しがちなリモートワークに、片手でバーガー、片手でパソコンというスタイルが合うというのもあるのかもしれません(行儀は悪いですが……)。

コロナ禍において“バーガーが熱い”ことは、データでも証明されています。

まず、冒頭に登場した日本マクドナルドが2021年2月に発表した2020年12月期決算によると、全店売上高は5892億2800万円となり、過去最高を記録しました。

モスフードサービスも、2021年3月期通期の連結決算によれば、売上高719億7200万円(前年度比4.3%増)、営業利益14億2200万円(同34.1%増)と好調です。

また、「家計調査(家計収支編・二人以上の世帯)」を見てみると、13万8988円だった2019年の食事代への平均出費額は、2020年には10万5992円になり23.7%ダウンしたにもかかわらず、ハンバーガーへの年間出費額は2019年が4576円、2020年は5100円と11.5%も増加しました。緊急事態宣言等による外出制限の影響を受け、麺類や寿司、焼き肉など外食カテゴリーの他の品目がダウンする中、ハンバーガーは唯一、伸びを見せたのです。引き続き好調な2021年の月ベースの数字からも、ハンバーガーの堅調な成長が窺えます。

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さて、ここまで読んでいただいた方は、バンズ、パテ、ケチャップのハーモニーがたまらない、あのジューシーで香ばしいハンバーガーが食べたくなってきているかもしれませんね。手軽で、いつ食べても間違いなく美味しいハンバーガーですが、経済の“今”をユニークな角度から映し出してくれる稀有な存在でもあるのです。

執筆/平 陽子 投資歴7年。投信積立での運用を中心に据えつつ、日本株の投資も。特に「株主優待は生活の潤い」をモットーに、割安で優待の充実した銘柄を探し、投資。そして、到着した優待品をSNSやブログで公開することをライフワークにしている。