投資信託を知るためには運用会社を知ることも必要
外部委託運用や投資助言が多く活用されている例としては、専門的な調査力が必要とされる新興国株式や中小型株式のほか、特定のテーマに特化した株式やREIT(不動産投資信託)などもある。また、最近ではテクノロジー関連のテーマ投資やESGの分野でも、外部の力を活用する例が目立っている。
なお、外部委託運用の場合、運用を委託する先は投資信託委託業者か投資顧問業者に限定されているが、必ずしも国内に拠点を構える会社である必要はない。日本に拠点を持たない、海外の運用会社の運用ノウハウを取り入れることもある。投資信託を購入する個人投資家にとっても、世界中の運用会社の運用力を、自身の資産運用に取り入れることができるというメリットがある。
最後に、依頼元の運用会社の業務についても言及しておこう。依頼元の運用会社は、ただアウトソースするだけで後は何もしなくてよいのかというと、決してそういうわけではない。運用会社は、委託先がきちんと運用業務を行っているかについて絶えずチェックする受託者責任を負っており、「外部委託運用部」などと呼ばれる部署が、外部委託運用に関する一連の業務を担っていることが多い。新しい運用会社やファンドの発掘、前述のチェック業務(これをデューデリジェンスという)の実施のほか、運用を委託しているファンドのモニタリングなども含まれる。
以上、見てきたように、運用会社は受益者(投資家)に対する受託者責任はもちろん、会社として総合的に運用力を向上させ、事業を安定させるという任務を負っていることも忘れてはいけない。投資信託に投資する私たち投資家もまた、「木を見て森を見ず」とならないために、個別ファンドだけでなく、運用会社についても理解を深めていくことが重要だ。