投資信託という金融商品は、「運用会社(委託会社)」「販売会社」「受託会社」の各機関が役割を果たすことで成り立っている。この3つの機関の中でも、投資信託を組成し、投資家から集めたお金をどこにどのように投資するかを考え、受託会社に指示する運用会社は、投資信託運用の心臓部として特に重要な役割を担っている。筆者は、運用会社について理解を深めることは投資信託そのものへの理解を深めることにつながり、ファンド選びにも役立つと考えている。
そこで、「ファンド愛」をうたう本コラムでも、投資信託運用の要である運用会社について、さまざまな角度から取り上げていきたい。今回は、投資信託運用の「アウトソース化」について解説する。
運用会社なのに「運用」を外部に委託する?
一般的に「投資信託の運用」と聞くと、運用会社の中にいるファンドマネジャーが、さまざまな調査を行った上でファンドに組み入れる銘柄を選定し、ポートフォリオの管理・運用を行う……という姿を想像する人が多いのではないだろうか。こうしたイメージは決して間違ってはいないが、実は運用会社には、外部の機関に運用を委託=アウトソースすることが認められている。
つまり、Aアセットマネジメントの商品として展開されているAファンドが、実際にはBアセットマネジメントによって運用されている、ということがある。依頼元であるAアセットマネジメントは、委託先のBアセットマネジメントに対して相応の報酬を支払う。このように、外部の機関に運用の指図に関わる権限を委託することを「外部委託運用」といい、日本では1998年施行の投資信託法の改正により可能となった。
なぜ費用を負担してまで、わざわざ別の会社に運用を委託するのかというと、これはひとえに運用の効率性向上のため、である。運用会社は世界各国に存在し、投資信託や年金などの運用を担っているが、各社で得意とする領域がある。そこで、特定の市場や資産の運用に精通している別の会社に委託することで、運用会社全体としてより効率的な運用を実現するというわけだ。
また、外部委託運用と似た方法として、運用会社は外部の機関から「投資助言」を受けることも認められている。外部委託運用と投資助言の大きな違いは、運用指図の権限がどの会社にあるかという点だ。外部委託運用の場合、外部委託先の会社には運用指図の権限があり、自ら投資判断を行い実行に移すことができる。これに対し投資助言の場合、サブアドバイザーと呼ばれる助言会社に認められているのは、あくまでも助言のみで、最終的な投資判断は依頼元の運用会社が行うこととなっている。