FIREを実現したらバラ色…とは限らない! 注意点も把握を

理想の生活を手に入れられるように思えるFIRE。その考えは間違ってはいないが、注意したい点もいくつかある。

まず、会社員ではなくなるということ。当然だが、会社員の間は毎月安定した収入が得ることができる。また、利用できる制度も多い。

例えば、年金制度や健康保険は、勤めている企業が福利厚生として保険料の半額を負担している。リタイア後は、これらを全額自分でまかなう必要があるのだ。他にも、企業型確定拠出年金などは給与から天引きされる形で掛け金を拠出でき、所得税の軽減にもつながる。会社員だからこそ受けられる保障や、負担せずに済む費用があることに注意したい。

企業に所属していないことや社会的生産性を担っていないことで、コミュニティやアイデンティティの喪失も懸念される。会社員時代に存在した繋がりや自分の存在意義は、リタイア後も維持できるとは限らない。

次に、リタイア後の長い年月をどうやって過ごすのか、目的や理由を明確にしておくこと。

平均寿命が80歳を超えていることを考えると、仮に40歳でリタイアした場合、その後の人生も40年。その間、モチベーションを保つ動機が必要だ。「ボランティアなどで社会貢献をしたい」「海外で多様な文化に触れたい」「夢だった小説家を目指したい」など、目的があれば自分のアイデンティティを見失わずに済み、自然と人との繋がりも生まれるだろう。100の経済的自立を目指すのではなく、趣味程度にフリーランスなどで収入を得て、生活に助けとするのも一つの考え方だ。

FIREに向けて一歩踏み出したい人も迷っている人も、まずは自分の生活や人生観を振り返ることで、人生の優先順位や大切にしたい価値観を見つめ直すきっかけになるのではないだろうか。