実はESG投資とも親和性が高いETF
テーマ別の観点では、世界的にESG投資の潮流が広がる中で、透明性の高いETFを通じてESG投資を行う手法もニーズが高まっていると言えます。ETFは指数に連動する特性から、ESGの基準さえ設定すればそれに沿ったパッシブ運用が望めるという意味で、ESGとETFは親和性が高いとも考えられます。
ESG投資は、2006年に国連責任投資原則によってESG要素を中心としたサステナビリティに配慮した投資(ESG投資)が提唱されたことを契機に広まっています。これまでESG投資をけん引してきたのは欧州ですが、この地域で早くからESGが浸透した背景には、キリスト教が広く信仰され、教会の資金をSRI(社会的責任投資)により運用してきたため、投資判断の中にESGの要素を含む非財務情報を早くから組み入れてきたことが関係していると言われています。
その欧州では、2000年ごろから各国で年金法の改正が進み、年金受託者が投資銘柄を選ぶ際にESGを考慮したかを公開したり、上場企業にESG情報の開示が求められたりと、制度的な部分でESGが他のエリアに先んじて浸透してきました。その後も欧州全体として、ESG投資のフレームワークを整える動きがあります。
近年では先行してきた欧州のみならず、アメリカ、日本を含め世界中でESGが浸透してきており、さらに2019年末に発生したCOVID-19をきっかけに、人々の思考や企業行動において社会性が重視される動きと相まって、ESG投資の考え方がより一層浸透する可能性を指摘する声もあります。実際、世界のESG-ETFは大きく拡大し続けており、ETFの専門調査機関であるETFGIによると、ETP(ETF以外の商品も含む上場取引型金融商品)の純資産残高は2020年末時点で2000億ドルに迫る規模となっています 。
日本においても、ネットニュースや新聞等に「ESG」という言葉を見かけない日はないほど広く情報が発信され、考え方の認知度は向上してきましたが、日本のESG投資やESG-ETFに限るとその歴史は比較的浅く、現状、規模もそれほど大きくありません。しかしこれを裏返すと、欧米との比較で伸びしろが大きいと捉えることもでき、実際、東証上場のETFの中でもESG観点のETFや、ESGのスクリーニングをかけているETFの銘柄数が増加しつつあります。
COVID-19を契機とした人々の価値観の変化という流れを受け、日本のマーケットでもESGに対する関心は加速度的に高まる可能性があり、ESG投資と相性の良いESG-ETFの今後の展開を東証としても注視していくつもりです。