データでひも解く、NISAで買われている商品は…

ご存じの方が大半かと思いますが、NISAで買える商品は株式(現物)、投資信託、ETF、J-REITです。昨年1月にNISAの制度見直しが行われ、NISAの口座数、買付額などが大きく伸びました。個人の資産運用に対する関心が高まってきたとも言えますが、では、NISAで買える商品のなかで、最も買われているのはどれでしょうか。

まず、金融庁が公開している、制度見直し前の一般NISAとつみたてNISAの合計買付額の累計を見てみましょう。期間は2014年から2023年中です。それによると、この10年間の買付額累計は35兆2538億6129万円でした。

そして、2024年1月に新制度のNISAに切り替わってからの買付額累計は、9月末までの9カ月間で13兆7932億4674万円でした。たったの9カ月間で、旧NISA時代の10年間における買付額の4割近くに達したことになりますから、NISAの制度見直しが、いかに資産運用への関心を高めるきっかけになったかが分かります。

では、次は個別商品で見てみましょう。まず、旧制度が適用されていた2014年から2023年末までの買付額累計です。

・上場株式・・・13兆0940億6884万円(37.14%)
・投資信託・・・21兆0376億3083万円(59.67%)
・ETF・・・・8743億0293万円(2.48%)
・J-REIT・・・2446億6937万円(0.69%)

次に、新制度に変わってから9月末までの9カ月間の買付額累計は、

・上場株式・・・4兆5774億0771万円(33.18%)
・投資信託・・・・・・8兆7596億8814万円(63.50%)
・ETF・・・・・・3996億4593万円(2.89%)
・J-REIT・・・・・・565億0496万円(0.40%)

カッコ内のパーセンテージは、それぞれの期間中の買付額累計に占める、各商品の買付額累計の割合です。この数字を比較することで、新制度に切り替わってから、より買われている商品、買われていない商品が分かります。上記の数字を比較すると、投資信託がより買われる一方、上場株式とJ-REITはやや低迷。ETFはやや買われている、という状況です。

恐らく、投資信託のなかでも買われているのは、オール・カントリーとS&P500のインデックスファンドでしょう。またETFも基本的にはインデックスファンドではあるのですが、新制度に変わってからの買付額累計で、投資信託が8兆7596億8814万円であるのに対し、ETFが3996億4593万円というように、大きな差が生じているのは、なぜでしょうか。