データだけでは見えてこない、投資信託の奥深い世界をプロのトークで探求するPodcast新番組「投信フリーク」がスタートしました。

記念すべき第1回は、ファンドアナリストの海老澤 界氏と篠田 尚子氏が登場し、2026年第1四半期の振り返りから、今まさに注目の集まるテーマについてトークを展開。乱高下を見せた米国株式・日本株式ファンドの行方から、テーマ型投信の存在意義、さらには多く投資家が直面するNISAの出口戦略まで、投信にまつわる「今、気になること」をプロはどう見ているのか――(収録は4月22日)。

本稿では、海老澤氏のトークの一部を抜粋し、再編集してお届けします。

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松井証券でファンドアナリストをしいる海老澤 界と申します。投資信託業界が「誰にも見向きもされない」と言われていた時代から今日まで、ファンドの分析に携わってきました。特にここ数年、新NISAの開始以降、投資信託が一気に市民権を得たと感じています。今回は激動の2026年第1四半期を振り返りながら、私が今注目しているテーマや考え方についてお話しします。

「ナイキ型」相場が示した、投資信託の本質

2025年末、社内で2026年の相場予想をしていた際、弊社の米国株式アナリストが「ナイキのSwooshマークのような形になるのでは」と言っていました。実際に振り返ってみると、確かにそれに近い動きになっています。ただ、今回難しかったのは、米国株式のバリュエーションの割高感やAIへの期待感の盛り込まれすぎ、地政学リスク、そして「AIが既存システムを代替するのでは」という懸念が重なり、予想が難しい局面が続いたことです。

でも見方を変えると、このナイキ型の相場は「積み立てが最も効く相場」でもある。そしてこの展開は改めて、投資信託の本質を思い起こさせてくれました。投資信託の本質とは何か。それは「分散」です。分からないから分散する、不確実性があるから分散する。トランプ大統領の発言なんて誰にも読めません。だからこそ、分散投資という基本に帰ることの重要性を、ここ数か月でしみじみと感じました。

日本株式=ボックス圏とは考えない投資家も

日本株式については言いたいことがいろいろあります。今年に入ってから足元まで見ると、日本株式はかなり健闘しています。韓国株式・台湾株式のほうが実はパフォーマンスが良かったりするのですが、残念ながら投資信託でそれに相当するラインアップはほとんどありません。韓国株式ファンドは2024年後半に償還されてしまったのですが、その後に韓国株式は上昇する。「また投資信託ってこういうことよく起きるな」と思いましたね。

それでも気になる動きがあります。日本株式のインデックスファンドは「上がったところで売られ、下がったところで買われる」という傾向が続いている。ボックス圏を行ったり来たりするものという意識が、一部の投資家に根強いのかもしれません。一方で、「SMT 日本株式モメンタムファンド」のように、上昇モメンタムのある銘柄に投資するルールベースのファンドが人気を集めている。日本株式の長期上昇を信じている投資家が一定数いることの表れだと思っています。

「小型ブルーチップオープン」や「ノムラ・ジャパン・オープン」も、今年に入ってからいい動きをしています。野村アセットマネジメントはアクティブファンドに対して自ら厳しいレビューを課す方針を前面に出していますが、その本気度が成績に表れている。そういう骨太なファンドを注目しないのは、私もやはりもったいないと思うんですよね。

ロボプロファンドが示す、AI運用の可能性

運用面でのAI活用という意味では、「ROBOPROファンド」は特筆すべき存在だと思っています。AIが感情を排除して運用するというコンセプトで、バランス型ファンドでもある。行動ファイナンスの観点から言えば、人間の投資判断には感情的なバイアスがどうしても入り込みます。現時点でAIは感情を持たない——そこが強みです。

面白いのは、日本人がこのファンドに大事なお金を預けることに、思いのほか抵抗を感じていないように見えることです。ルールベースのファンドやAI運用への信頼は、「人間のファンドマネージャーのほうがブラックボックスでしょ」という感覚とつながっているのかもしれません。ルールが明示されていることで、分かりやすさと透明性を感じる投資家が一定数いる。このジャンルが今後も良い競争を生んでいくことを期待しています。

毎月分配型の再来:新しい投資家への啓蒙

最近気になっているのが、「WCM 世界成長株式厳選ファンド(予想分配金提示型)」の人気です。2024年のリターンが約70%と非常に高く、SNSで話題になり残高を大きく伸ばしました。大手販社が売って残高が積み上がるという従来のパターンとは違い、ネットから火がついたタイプで、新しい時代の到来を感じます。

気になっているのは、このファンドが毎月分配型だということです。2010年代初めに毎月分配型が残高の約70%を占めていた時代があって、さまざまな批判を受けながら縮小してきました。ところが、その経緯を知らない新しい投資家たちが、また分配金の魅力にひかれ始めているように見えるのです。「分配金を出すと基準価格が下がることを知らない人が多い」というデータもあります。私たちが改めて個別元本方式の仕組みを丁寧に伝えていく使命があると、強く感じています。

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このほかにも「分配型ファンド」や「NISAの出口戦略とNISA制度への提言」などついての議論が、海老澤・篠田両氏の軽快なトークとともに繰り広げられています。必聴です!

全編はPodcastでお聞きください。

Spotify

篠田氏のトーク内容は、こちらから。

 

海老澤 界氏プロフィール

 

松井証券 シニアファンドアナリスト
長年、投資信託について運用、販売、マーケティングなど多面的にウォッチ。投信アワードの企画・選定にも関わる。