低コスト&ザラ場で買える…そのメリットが投資を始めたばかりの人にはピンとこない!?
ETFが東京証券取引所に上場されたのは、2001年のこと。以来、24年ほど経過した現在、上場されている銘柄数は1月時点で347銘柄です。ETFが誕生した当初は、信託報酬が低廉、かつ株式市場が開いていれば、いつでもザラ場で売買できるメリットが強調され、非上場のインデックスファンドに比べてその優位性が注目されていました。
ちなみに、その当時の非上場インデックスファンドは、購入時手数料として購入金額の1.5~2%が販売金融機関に取られるのに加え、年間の信託報酬率は年1%前後という、今からすればかなりコスト高な商品でした。
それに比べ、当時のETFの信託報酬率は年0.1%程度と、非上場インデックスファンドのそれに比べて格安でした。加えて、当時は徐々にインターネット証券会社が増え、ETFの売買に必要な委託手数料の引き下げ競争が繰り広げられていたことから、非上場インデックスファンドの購入に必要な購入時手数料よりも、ETFの委託手数料の方が安くなったのです。当時のETFは、ローコスト商品の申し子のようなものでした。
そのETFがなぜNISAではいまいち存在感を発揮できない状況なのでしょうか。理由は2つあると考えています。
第一の理由は、恐らく多くの方も想像できると思いますが、非上場のインデックスファンドなどのコストが劇的に低下したことです。今や多くのインターネット証券会社では、取り扱っている投資信託の購入時手数料をゼロにしています。対してETFは、インターネット証券会社を経由して売買したとしても、かつてに比べて大きく下がったとはいえ、売買委託手数料がかかります。
また、ETFの信託報酬率は、日経平均株価やTOPIXに連動するタイプは年0.05~0.07%程度と低いのですが、S&P500連動型で年0.06~0.15%程度、MSCI-KOKUSAIなど国際分散投資型で年0.078~0.19%程度かかります。一方、非上場インデックスファンドで大人気のeMAXIS Slimのオール・カントリーは年0.05775%、S&P500は年0.0814%以内です。
ETFの場合、運用会社によって信託報酬率に差があり、非上場インデックスファンドよりも低い料率を提示しているものもありますが、その差はごくわずかであり、かつETFには売買委託手数料がかかることを考えると、コスト面では非上場インデックスファンドに軍配が上がることも少なくありません。
また、NISAの制度見直しを機に投資信託を始めてみようという人たちからすれば、証券会社でしか売買できず、しかもザラ場で自由に売買できる利点も「分かりにくい」という思い込みから、ETFを敬遠する傾向があるのかもしれません。