これからのiDeCoは「分散投資」で差がつく時代に
講師
これはまさに、掛金全額所得控除のメリットと運用益非課税のメリットの違いを意味しているのですが、これまでご説明してきたことも踏まえて整理してみました。
講師
掛金全額所得控除で誰でも得するってことは、iDeCoを「やっていない」人は得しない、わけですが、みんながiDeCoを「やっている」人になると、みんな、得することにもなります。
参加者
iDeCoをみんながやる世の中になると、掛金全額所得控除のメリットでは差がつかなくなっているってことですね。
講師
そういうことです。
ここ数年でiDeCoの加入者が増え続けていく中で、これからiDeCoで差がつくとすれば、「分散投資を」やっているかやっていないの差になるのかなぁ~、と常々思っていました。掛金全額所得控除が当たり前になるとすれば、今度は、運用益非課税のメリットを活かせるかどうかがカギになる、ということです。
参加者
分散投資、ですか……。
そういえば、セミナーで「分散投資には、アセットアロケーションとアセットロケーションがある」という説明をされていましたね。
アセットアロケーションとは、株式、債券、金(きん)といった投資先資産のカテゴリー(種類)の配分を考えることで、例えば、iDeCoでバランスファンドに投資することもその1つとおっしゃっていました。
一方、アセットロケーションのほうは……確か、資産の「置き場所」を考えることだったと思います。
講師
それでは簡単におさらいしましょうか。
分散投資とは、「投資対象」を分散させること。これにより値動きのブレを抑えることが可能になるので、安定的な資産形成につながります。そして、ご説明いただいたように、どの投資対象にどれだけの資産を配分するかを考えることがアセットアロケーションです。
このアセットアロケーションをiDeCo口座の中だけで考えると、ご自身で商品を組み合わせるか、あるいは、既に複数資産が組み合わされているターゲットデートファンド(TDF)やバランスファンドなどに投資をすることになりますね。
一方、アセットロケーションとは、「お金の置き場所」の配分を考えることです。アセットアロケーションをiDeCoだけでなく、ご自身の資産全体で考えるということが、その実践の第一歩になります。例えば、既に預貯金で資産を多く保有しているのであれば、iDeCoでは株式投資信託だけを選ぶ、という具合です。
さらには、保有資産は預貯金も含めて円建ての資産ばかり、というのであれば、iDeCoでは外国株式投資信託で積極的にリスクを取ることも合理的になるのです。また、高い期待リターンが見込める株式投資信託は、運用益が非課税のiDeCoに置いておくといった話も、アセットロケーションの考え方ですね。
「分散」投資とは、よく知られる資産の分散だけでなく、置き場所の分散も含めた考え方だと言えます。
参加者
確かに、アセットアロケーションの話は以前から繰り返しお聞きしていましたが、アセットロケーションの話は、正直、あまり詳しく覚えていませんでした……。
講師
名前もよく似ていますから、無理もありません。でも、アセットアロケーションに加えて、アセットロケーションも、両方重要な考え方なんですよ。
先ほどの投資信託の資産カテゴリー別保有者割合のアンケート結果を見ると、「様々な資産」が減って、「外国株式」が増えているじゃないですか。
これは、比較的高い期待リターンが見込める「外国株式」を、運用益非課税のメリットがあるiDeCoに置いておく、つまり、アセットロケーションを重視して商品を選ぶ人が増えている、ということだと思います。
参加者
なるほど~、よく分かりました。運用益非課税のメリットを改めて考えると、iDeCoの魅力がさらに増したような気がします。
iDeCoでアセットロケーション、考えたいと思います!
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iDeCoのメリットといえば、「掛金全額所得控除」の独り勝ちですが、私は前々から、運用益非課税はもっと評価されてもいいメリットだと思っていました。なぜなら、iDeCoを通じた資産形成に直結するメリットは運用益非課税だからです。
そんな私の思いが「確信」に変わったきっかけが、先日公表された投資信託協会のアンケート結果です。税制メリットの魅力としては大きく引き離された二番手ですが、運用益非課税のメリットをちゃんと理解したiDeCo利用者が増えている一つの証拠だと言えるでしょう。
「確信」に変わった私の思いを、たくさんの現役世代の皆さまに知っていただきたいですね。ご参考まで。