投資よりも仕事を覚え、収支管理を身につける方が先

資産形成をするにあたっては、順序が大切です。特に若い人にとっては、まず早く仕事を覚え、仕事で成果を出すことが何よりも重要なことです。なぜなら仕事を頑張って早く昇格し、それに伴って昇給することがお金を稼ぐ上ではもっとも大事なことだからです。

さらに今までの回でお話してきたように、公的年金をはじめとする社会保険の仕組みや自分が勤める会社の制度をきちんと理解しておくべきでしょう。その上で、支出をきちんと管理し、無駄な保険に入らないようにすること、これが若い内から資産形成を行うためのもっとも有効な方法だと言って良いと思います。投資をするのはそれから後でも構わないのです。

それでも、やはり投資はやらないよりは、やった方が良いと思います。なぜなら自分の将来の経済状態は不確実だからです。もちろん投資の結果も不確実です。でもこれは、結果が不確実(リスクが高い)だからこそ、高い収益(リターンが高い)が見込めるのです。いずれにしても将来が不確実であることから逃れることはできないわけですから、一定割合のお金を不確実だけれども高い利益が期待できる投資に回すということは合理的な考え方だと思います。

投資で資産形成をしようと思った場合、一番大事な考え方は、「時間を味方につける」ということでしょう。別な言い方をすれば、短期的な価格変動に惑わされることなく、成果が出るまで“待つ”ということがもっとも大切なことなのです。なぜなら短期的な価格の変動は誰も的確に予測することができないからです。個別企業への株式投資の場合でも、その企業が長期にわたって成長し、利益を出し続けることを“待つ”ということが大事ですし、投資信託などを利用して市場全体に投資する場合でも短期的な動きに焦ることなく、世界経済全体が長期に成長することを“待つ”ことが大切です。

過去に投資を通じて資産形成を果たした人はほとんど例外なく、この“待つ”ということができた人ばかりです。したがって、年齢が若いということは味方につけることのできる時間をたっぷり持っているというアドバンテージがあると考えた方がいいでしょう。