ひとりブラック企業? カリスマ経営者のワークスタイル

数多くの事業を展開するイーロン・マスクは「毎週80時間から100時間くらい、がむしゃらに働くことで、成功する確率を高めることができる」と公言している。1週間は168時間なので、睡眠や食事時間を考慮すると、趣味に割く時間はほとんどないと言える。

時代錯誤とも言えるワーカホリック具合であるが、イーロン・マスクの成功はこの長時間労働がもたらした側面もあるかもしれない。

ただ彼の場合「目標がどこにあって何をすべきなのか? そのことが分かれば、人々はもっとよく働くはず。みんなが朝から働いて仕事を楽しむようになるのでは?」とも話している通り、仕事が楽しくて仕方ないのであろう。

イーロン・マスクは世界を変える? その原動力の正体は

「大学生の時に、世界を変えることに携わりたいと思っていた。今もそう考えている」

この発言の通り「世界を変えたい」という想いが、彼の原動力だと言える。マスク氏が生まれた頃の南アフリカは、歴史上アパルトヘイト(人種隔離政策)の対立が最も激しい時代だった。当時、まだ5歳だった頃を回想し、「黒人が不当に虐げられている現実を見て、自分が白人であることを恥ずかしいと感じた」と話している。この経験が、彼の「世界を変えたい」「人類を救いたい」という思いを抱く原体験だったのかもしれない。

火星への移住計画に、自動運転車。イーロン・マスクが手がける事業はどれも、人類が抱く夢や目標に繋がる。さらにどの事業も、環境問題への対応を意識していることも見逃せない。例えばスペースX社で制作するロケットは、再生利用可能なパーツの使用を重視しているそうだ。テスラ社が世に出す自動車は、創業以来すべて電気自動車という姿勢も徹底している。

今年で50歳を迎えるイーロン・マスク。思い描く理想を実現するために、どこまでやり抜くのか。人類にどんな未来を見せてくれるのか。これからも彼の動向から、目が離せない。

Photo by Britta Pedersen-Pool/Getty Images