DC商品の見直しにはガバナンスの兆しが

表立って話題にはなっていませんが、企業型の商品ラインナップの見直しによい影響を与えたのは、2018年5月に確定拠出年金法等の改正によって「事業主が委託先の運営管理機関の業務評価を5年に1度は行い、必要に応じて運営管理機関と対話・業務改善申し入れなどを行うこと」が努力義務となったことがあります。

そして、この施行にあたって、運用関連運営管理機関の評価項目として法定業務である「商品の選定・提示」によって、企業と運営管理機関の取引関係やグループの運用会社の商品を運営管理機関が当然のように並べるのではなく“真に加入者利益を追求しなければならない”ということが明確になったことは大きかったと思います。

それまでは、企業が負担する運営管理費用を安くする代わりに加入者が負担する投資信託の信託報酬は高いものを並べる、とか投資信託商品はほぼ運営管理機関と同一グループの運用会社の商品といった、今では考えられないようなことが裏では横行していましたから、運営管理機関側にも導入企業側にも相当な衝撃が走ったはずです。

確定拠出年金教育協会が毎年実施している企業型DCの実態調査でもその変化は明確です。2016年の法改正前の段階では、「商品ラインナップの見直しの判断基準(追加の場合)」として、「運営管理機関等との取引関係」が非常に多かったのが、2018年以降は急減し鳴りを潜めています。



商品ラインナップ見直しの判断基準(追加する場合)の2016年、2018年~2020年の結果

※「企業型確定拠出年金(DC)担当者の意識調査2020全体報告書」内「Q14-SQ3.商品ラインナップ見直しの判断基準/1.商品を追加する場合」と過去調査の同様の質問の回答結果を合わせ、独自に作成
 

現在では、「これまでにないカテゴリーの追加」「提示金利や運用実績」、「信託報酬等の手数料」といった加入者目線、加入者利益を重視する項目が上位に来るようになりました。