分配方針の透明性が高い「予想分配金提示型」

予想分配金提示型は、こうした事態を極力回避するよう設計されている。基準価額の水準に応じて支払われる分配金の額があらかじめ決まっており、毎決算期末に分配方針に基づいて最終的な分配金額が決定する、というのが大まかな仕組みだ。

例えば、冒頭で紹介した「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」の分配方針は、目論見書上、以下の通り明示されている。

直近2021年1月の決算日は1月15日だが、「毎計算期末の前営業日」の基準価額で分配金額が決定されるため、14日の基準価額を参照する。14日の基準価額は11,683円で、「11,000円以上12,000円未満」のレンジに該当するため、当該決算期の分配金は200円ということになる。

決算時に分配を行うかどうかと、具体的な分配額の決定権は運用会社にある。また、分配金は支払いが確約されているものではなく、実際の分配額も決算を迎えるまで分からないというのが、これまでの定期分配型の「常識」であった。「予想分配金提示型」なら、分配方針の透明性が高く、投資家にとっても分配金の見込み額を事前に把握できるという利点がある。定期的なキャッシュフローニーズのある投資家はもちろん、心理的に、一定周期で利益確定をしたほうが安心できるという投資家にも向いているだろう。

ただし、長期の資産形成を目的とするなら、定期分配型ではなく、なるべく決算回数の少ないファンドを選ぶのが鉄則だ。特に毎月決算を行う毎月分配型は、運用効率の観点から決してお勧めはできない。

例えば「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」であれば、年2回決算の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」が同じシリーズで展開されている。長期での資産形成が目的で、同シリーズに決算回数の少ないファンドが展開されている場合には、そちらを選ぶようにしてほしい。