ライフプラン手当のメリット・デメリットは?
そもそも選択制企業型DCとは、従業員の給与を減額した上で、減額部分を「企業型DCの掛金として拠出する」もしくは「これまでどおり給与として受け取る」ことを従業員が自らの意志で選択することができる確定拠出年金制度です。実際には、事業主掛金(ライフプラン手当、ライフデザイン手当等)と、給与として支給する現金の割合を変えた複数の選択肢が用意されているケースが多くみられます。選択にあたっては制度のメリットとデメリットをよく理解することが大切です。
仮に企業型DCへの拠出を選択した場合は、拠出分の金額は給与とはみなされないため、結果としてその分、所得税、住民税が減るメリットがあります。また会社員の場合、毎月給与天引きで厚生年金、健康保険といった社会保険料を支払っていますが、これらの社会保険料の金額は、給与額に応じて区分される等級ごとの標準報酬に保険料率を掛けて計算されています。つまり給与が下がれば等級も下がるので結果、社会保険料も安くなります。
前沢さんは30歳ですので、今加入すると、30年程度D Cに加入できることになり、税金や社会保険料負担が合計数百万円単位で軽減されるでしょう。税金や社会保険料の負担減などを考えると、給与で受け取るよりも企業型DCに掛金を拠出した方が良さそうだと感じると思いますが、デメリットもあります。
社会保険料の金額が安くなるということは、将来受け取る年金の金額や社会保障の給付額が少なくなるのです。国民年金には影響はありませんが、老齢厚生年金をはじめ、障害厚生年金、遺族厚生年金などの年金が減ったり、ケガや病気になって会社を休む場合に健康保険から支給される傷病手当金、また雇用保険から支給される、失業した際の失業給付や介護で会社を休む際の介護休業給付金の給付額も減ってしまいます。