アメリカに移住されて間もないクライアントの方とお話ししていて、「IRAっていうのはiDeCoのことなんですね!なかなか説明を聞いてもわからなかったけど、iDeCoと聞いてやっとピンときました!」と嬉しそうな声をお聞きしました。

日本の企業型DC制度とiDeCoは、アメリカの401(k)とIRA(Individual Retirement Account/個人退職勘定)におおむね相当します。

日本では今回ルールが改正され、2022年から企業型DC制度とiDeCoを併用できるようになると聞きました※。アメリカでも多くの方が勤務先では401(k)で積み立て、個人としてはIRAで資産運用をしています。一つ選ぶならどちらを選んだ方がいいかとか、両方使うならどちらを先に使ったほうがいいかとか、過去にはプラニング上注意するべき点も多かったのですが、昨今ではかなりシンプルになってきているように思います。

※編集部注……現在は企業型DC加入者はほとんどの場合、iDeCoに加入することはできませんが、法改正によって2022年10月より、企業型DC加入者も多くの場合iDeCoへの同時加入が可能になります。

かつては401(k)のラインナップ不足によって、あえてIRAをお勧めしたことも……

過去において何が一番問題だったかというと、投資運用ファンドの選択肢と手数料です。401(k)は積立限度が高く(50歳未満で$19,500/年)、給与天引きで積み立て出来る便利さもあり、個人での手続きが必要で限度額も低いIRA(50歳未満で$6,000/年)よりも先に考慮されるべきだと思います。

しかしながら、401(k)で選択できるファンドラインアップは、それぞれの会社のプランですでに決められていますので、そこで目的に合う良いファンドが提供されていればいいのですが、提供がなければ“お金は入れるが思うように運用ができない”ということになります。例えば世界の株式市場に投資したいのに、株式ファンドはS&P500インデックスファンドしか提供されていない、というようなケースです。

また、目的に合うファンドがあったとしてもそのファンドの手数料があまりに高いというようなケースもあります。投資内容的に同じようなファンドでも、他で投資すれば0.20%の手数料なのに、401(k)内で選べるファンドでは1.00%になってしまうといったこともよくありました。

このような場合は、401(k)を使いたいのはやまやまでも、あえてIRAの利用をお勧めするということが、過去には案外あったわけです。IRAは雇用主に全く関係なく、個人的にどこの金融機関を選んでも大丈夫ですし、その金融機関で提供されている多くのファンドラインナップの中から自由に最適なものを選べるという快適さがあるわけです。