2009年の金融大恐慌を機に、401(k)のファンドラインナップの進化が始まった

ところがここ4、5年くらいでしょうか、ほぼこの点で悩むことがなくなりました。

401(k)のファンドラインアップが劇的に改善されたからです。2009年の金融大恐慌を機に、アクティブファンドからパッシブファンド(インデックスファンド)へのシフトが進むと同時に、不要な手数料に対しての吟味が厳しくなりました。

企業の福利厚生を担当する部署も、401(k)の質が良い人材を引き寄せ、良い人材を留め置くのに重要な要素であることを理解し、その改善に取り組むようになりました。各企業が、低手数料の優良ファンドを取り扱う401(k)運営会社に乗り換えていったわけです。

実際、アメリカで仕事を探す時、給料だけでなく401(k)の質に気を配る人は多いと思います。「どうしてそこの会社を選んだの?」と聞かれ、「すごくいい401(k)がオファーされているんだよ」と答えるイメージです。給料は今だけですが、401(k)は将来も作り上げていくからです。また、低手数料の洗練されたファンドのラインアップに加え、マッチアップもモノを言います。

日本の企業型DCを見ていて面白いなあと思ったのは、日本でマッチアップ(マッチング拠出)というと、企業の拠出に加えて雇用者がマッチアップするという意味なのですね。アメリカでは、雇用者の積み立てに加えて企業がマッチアップすることをマッチアップと呼びます。個人がある程度積み立てをすれば、それにマッチして年収の3%までとか、多いと10%以上を企業が併せて積み立ててくれるという具合です。