ネット証券での取引には相続財産から見逃されてしまうリスクが
死後のトラブルとしてよく聞くのがネット証券の口座です。売買内容によっては、ウェブ上だけで取引が完結するものもあります。取引報告書などが郵送されなければ、家族はその人がネット証券で取引していることに気付きません。もしもご本人が事故や脳疾患などで急死し、パソコンのパスワードも分からないという状況が生じたら、ネット証券での取引は相続財産の調査で見逃されてしまう可能性が大です。
退職後は時間的な余裕も生まれますから、ネット証券で資産運用をしたいと考える方も少なくないと思います。その場合は、前述のような事態を避けるために、パソコンのパスワードやネット証券などのID、パスワードをノートなどに書き留めておき、自分に万一のことがあっても、家族に分かるようにしておくべきでしょう。
クレジットカードやポイントカードの枚数もミニマムに
クレジットカードの中には、年会費を徴収されているのにほとんど使っていないというものが含まれているかもしれません。心当たりのある方は、退職を待たずにすぐに解約しましょう。クレジット機能を付加したポイントカードも、現金利用が多いのであれば、クレジット機能を外しても不自由はないはずです。
退職後はメインのカードとサブのカードの2枚をキープしておけば十分かと思います。ご自身のライフスタイルやポイントの活用を考えながら、使い勝手のいい2枚を選んでください。
PayPayやLINE Payなどの電子マネーも、よく使うものに集約していくといいでしょう。これらは相続財産となり、払い出しに応じてもらえます。日本航空(JAL)や全日空(ANA)のマイルポイントはそのまま相続することも可能ですが、いずれもネット証券同様、どの電子マネーやマイレージを使っているのか、家族に分かるようにしておく必要があります。
“お金のアカウント”の断捨離は、ご自分の財産を「見える化」することにつながります。
セカンドライフのスタートに当たり、財産の全体像を把握しておくことは大変重要です。時間があればあったで「明日やろう」「来週になったらやろう」と先延ばししがちですが、退職後なるべく間を置かずに取り掛かることをお勧めします。