お金の心配がクリアできたら、「任意後見契約」等も視野に入れて

お金の心配がなくなったら、今度は今後の管理についてです。リタイア後心配なのは、「認知症や体が動か亡くなった時」の財産管理です。お子さんがいらっしゃれば、ある程度はお子さんにお願いできる場合もありますが、明子さんは独身でお子さんがいらっしゃらないとのこと。

事前に「任意後見契約」をしておくことをおすすめします。「任意後見契約」とは、ご自身の頭や体がしっかり働くうちは自分で管理をして、いよいよ判断能力が失われてしまった時に、明子さんが信用できる任意後見人に、明子さんの代わりに財産を管理したり、契約をしたりしてくれるようにあらかじめ決めておく契約書のことです。

この契約をしていれば、明子さんの判断力が失われても、明子さんが選んだ任意後見人が財産の管理や身上監護をしてくれますから、あらかじめ明子さんの希望を任意後見人候補者に伝えておけば、明子さんの希望に沿った人生を送ることが可能です。

また、これと併せて作成した方が良いのは、「財産管理委任契約」です。明子さんが認知症などで判断力が無くなって任意後見手続で対応する前の段階、判断力が無くなった訳ではないが気力や体力が衰えて、財産の管理を第三者に任せたいというときに備えて結ぶ契約です。また、明子さんはお子さんがいませんので、自分が死んだ後の葬儀を執り行ったり、サービス付き高齢者住宅や老人ホームなどにある遺品の処分をしたりしてくれる人がいなくて心配ということでしたら、「死後事務委任契約」を締結するのが良いでしょう。

さらに、自分の遺産を誰かに遺贈したり、団体に寄付したりしたいという希望があるのでしたら遺言も作成しておくのが良いでしょう。任意後見契約は公証役場で公正証書として作る必要があるため、財産管理委任契約や死後事務委任契約、遺言も併せて公正証書で作成すると良いでしょう。安心してご自身の希望に沿った人生を送ることができます。

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ポイントは、高額所得者だからこそ今一度「お金の作り方と使い方を見直しすること」と「任意後見契約等を締結」して、事前に将来のご自身の“身の振り方”を考えておくこと。こうした事前準備をして、不安のない楽しい人生を送っていただけたらうれしいです。