リタイア後の生活、実は年収の高い人ほど要注意!

「将来のお金のことが心配だから備えたい! でも今の生活レベルをできるだけ保ちたい」これは永遠のテーマですよね。今の生活レベルを下げるのは大変です。特に、明子さんのように年収が多い方ほど、収入に応じて使うお金も多いはず。リタイア後のことを考えると、今から「将来の生活資金とお金の使い方」を計画的に考えていかれた方がいいでしょう。まずは、明子さんの収入から見ていくことにしますね。

今の病院の雇用条件で収入が継続するとしたら、65歳定年まで手取りの年収が1000万円、65歳定年後、再雇用で70歳まで働いたとしたらその5年間は手取り年収が650万円となると想定されます。その後、70歳から年金生活をするとしたら、年金額が年額280万円と予想されます。これに退職金2000万円が加わります。

貯畜は年収の3割を目標に! そして「余ったら貯蓄」ではなく「先取り貯蓄」に

では、その収入から、今度はどれくらい将来のために貯蓄していくか考えていきましょう。まず、最初にしてほしいことは、貯蓄方法の変更です。今までの、「余ったら貯蓄」方法ではなく「はじめからなかったものとして貯蓄」方法に変更しましょう。いわゆる先取り貯蓄というものです。貯蓄額としては、年収の3割です。つまり、明子さんは年収が現在1000万円あるので、65歳の現役時代までは毎年300万円を最初から貯蓄に回します。そして年収が700万円だったとして生活をするということです。
なぜ3割か? 明子さんが70歳以降、年金生活が始まると、年収280万円となり今の1/3以下になります。しかも、お母様が亡くなられたら今までお母様が負担されていた住居費、水道光熱費等を負担することになります。よって、この現役世代に貯めていく3割は、70歳以降の将来の明子さんのために使っていきます。

このように考え方を変えたら、今の生活レベルを少し落とせそうではありませんか? リタイア後の生活資金が準備できてさえいれば、余った700万円で、将来のお金のことは心配しなくて思いっきり楽しんで生活することができます。では、今度は具体的にいくら貯められるか見ていきましょう。

明子さんは現在、48歳。65歳まで手取り年収が1000万円なので1年で300万円貯蓄、300万円×17年=5100万円貯蓄できます。また、65歳から70歳まで再雇用された時の年収650万円なので1年で貯蓄額195万円、195万円×5年=975万円となり、合計①5100万円+②975万円=6075万円貯蓄できます。これに現在すでに所有している8000万円の預金、1500万円の株式と退職金2000万円で、70歳の時点で約1億7575万円の貯蓄額となりますね。これだけあれば、お悩みであるマンションへの住み替えも、有料老人ホームにも入ることも、万が一お母様のお世話をすることになった場合の介護資金も確保できます。これで将来のお金の心配から解放されるのではないでしょうか? 住み替えはまだ先になりそうなので、その時の明子さんの条件や法令も変わっていると思われます。まずは、お金を貯める習慣を身につけ、購入時に備えましょう。