この人に聞きました
かとうとしのり
加藤 俊徳先生 脳内科医・医学博士  「脳の学校」代表

昭和大学客員教授。MRI脳画像診断、発達障害・ADHD、認知症の専門家。MRI脳画像診断を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。2006年「脳の学校」を創業。脳番地トレーニングメソッドを開発・普及。2013年、加藤プラチナクリニックを開設。独自開発した加藤式MRI脳画像法を用いて、脳の成長段階、得意な脳番地、不得意な脳番地を診断し、薬だけに頼らない脳番地トレの処方を行う。近著に『ぐうたらな自分を変える教科書 やる気が出る脳』(すばる舎)、『脳とココロのしくみ入門』(朝日新聞社)。

投資の基本は「長期・積立」。収入から生活費や保険料などを払ったうえで、例えば毎月1万円なら1万円と、決めた額をプールし、投資に回す習慣が欠かせません。あるいは、投資を始める前にまず生活防衛費として貯金をしておきたいという人も同様に、月々決めた金額を別の口座にプールする必要があるでしょう。いずれにしても、入ってくるお金を計画もなしに無駄遣いし、使い果たしていたら、投資はいつまでたっても始められないということです。

そこで前編では、人が無駄遣いをしてしまうメカニズムと回避策にフォーカスして、お話を伺いました。

まず、この先の解説に欠かせない加藤先生の考案した「脳番地」について説明します。脳には、1000億を超える神経細胞があり、同じような役割を持つ細胞は集団となって働いています。そこで加藤先生は、脳を1つの町に見立て、それぞれの集団に番地をふって、「脳番地」と命名。以下、主要な8つの番地の特徴をまとめました。

図版
①思考系脳番地 物事について考えたり、判断する脳番地。脳全体の司令塔として、他の脳番地に指令を出して情報を集める役割も。
②理解系脳番地 聴覚や視覚などを通して集まってきた情報を理解したり、解釈する。自分自身に対しての理解、ものごとや他人に対する理解もここで行う。
③記憶系脳番地 脳に新しい情報を蓄えたり、蓄積されている記憶を呼び出し、思考系や感情系など他の7つの脳番地に提供する。
④感情系脳番地 感情を生み出す脳番地。他人の感情を読みとったり、自分の気持ちのコントロールをする。
⑤伝達系脳番地 言葉や表情、身振り手振りなどを使ってコミュニケーションする脳番地。自分の考えや思いを伝えるのに不可欠。
⑥視覚系脳番地 目からインプットした情報を他の脳番地に渡す。ここが発達していると、審美眼が優れているということにもなる。
⑦聴覚系脳番地 耳からインプットした情報を他の脳番地に渡す。コミュニケーション能力とも深い関係がある。
⑧運動系脳番地

思考系からの命令に従って、実際に体を動かすための脳番地。手先、目、口、足などあらゆる体のパーツの動きに関わる。