無駄遣いしてしまうのは“性格のせい”ではなく、それぞれの脳番地がうまく活動していないから
さて、脳番地の特徴が分かったところで本題に入りましょう。
「無駄遣いはよくない」と分かっていても、うっかり必要のないものまで買ってしてしまう……性格のせい? と考えがちですが、加藤先生は脳の使い方に原因があると言います。
「私たちは日頃、8つの脳番地をまんべんなく使っています。買い物も同様です。まず運動系脳番地によって売り場まで行きます。そして、商品を見るときは視覚系脳番地を使い、伝達系脳番地を使って店員さんとコミュニケーションを取り、聴覚系脳番地を使って話を聞きます。『これ、いいな』とわくわくさせるのは感情系脳番地。じっくり観察して自分に似合うか?などと吟味できるのは理解系脳番地が働いているからです。さらに過去の経験や手持ちに似たものはなかったか?など記憶を探るのは記憶系脳番地の役目。最終的に思考系脳番地を活動させて、買うかどうか判断を下すのです。このように8つの脳番地がフルに活動し、相互に作用しあっています。ところが、それぞれの脳番地がうまく活動していないと、不必要な買い物、衝動買いといった“後悔する”買い物をしてしまうのです」(加藤先生)。
では、どうしてうまく活動しない脳番地があるのでしょうか。
「それは、脳のコンディション不良と各個人の脳の使い方のクセという2つの原因があります。脳のコンディション不良は、多くの人の場合、睡眠不足と昼間の運動不足が原因で、いうなれば“ボーッと”した、働いていない状態なのです」(加藤先生)。
つまり、まず脳の状態を活性化しておくことが、誰にとっても重要なわけです。7時間以上の睡眠と、日中のウォーキング(目標は7000歩)が効果的だとか。
そして、脳のクセというのは、もともとの遺伝による差も一部存在しますが、その人の行動パターンや欲求によって、「よく使う脳番地」と「使わない脳番地」が出てくることが大きな要因です。よく使う脳番地は発達がよく、使わない脳番地は未発達ということ。この脳のクセは日頃の行動、習慣によるところが大きい分、千差万別です。そこで、代表的なケーススタディで見ていくことにしましょう。