iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)は税制メリットがとても大きい制度です。でも、iDeCoを始めた人から「お得なのは分かるけど、iDeCoってすぐにはありがたみが感じられないですね」と言われることがあります。

確かに、iDeCoで積み立てた金額は全額が所得控除の対象になりますが、年末調整や確定申告の手続きが必要です。また、iDeCoの運用益は非課税ですが、そのメリットを享受できるのは実際に受け取るとき、つまり将来の話になります。これは、退職所得控除や公的年金等控除のiDeCoを受け取るときの税制メリットも同じですね。

こう考えると、iDeCoを始めたばかりの人がお得感を実感できないのもうなずけます。でも、話をここで終わりにすると、これからiDeCoを始めようとしている人の背中をそっと後押しするのではなく、グイっと後ろに引っ張ってしまいますね(苦笑)。それは私の本意ではありませんので、いつもセミナーでは所得控除の仕組みを説明するだけでなく、iDeCoの所得控除の「本質的なメリット」とは何か、参加者に問いかけるよう努めています。

セミナーで使っているスライドとともにご説明しましょう。

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投資額の約20%という“還元率”

講師
iDeCoの所得控除について、もう一度考えてみましょう!まずはその仕組みをおさらいします。
例えば、所得税が10%(復興特別所得税を除く、以下同じ)だと、iDeCoで毎月10000円積み立てると、所得控除のメリットはどれくらいになりますか?

参加者
住民税は一律10%なので、所得税と合わせて20%になりますよね。
毎月10000円積み立てると1年間で12万円になるので、12万円×20%の24000円。これが税制メリットの金額です。

講師
その通りです。よく理解できてますね。
この超低金利時代に20%も戻ってくるなんて、すごいメリットですよね?

参加者
ええ。お得なのは分かるのですが、所得税の還付を受けるためには年末調整や確定申告をしなければいけませんし、住民税は次の年にならないと負担が減りません。
それに給与天引でiDeCoをやっていると、勤め先で源泉徴収が調整されて税制メリットがあまり実感できません。どっちにしても、所得控除のメリットはすぐに見えないんですよね……。