テーマ選びで失敗しないためのポイント

では、長期投資に資する投資テーマの選び方で重要なポイントとは何か。それは短期の相場変動に左右されにくい、産業構造の変化が期待できる「成長産業型」のテーマを選ぶことである。

重要なのは、そのテーマ、または産業そのものが目覚ましい技術革新によって、人々の生活や産業構造を変える存在になっているかどうか、である。基本的に、一度進んだ技術が後退することは考えにくく、こうした成長産業は、長い目で見れば大きな成長の余地が残されている。一時的に株式市場の調整局面を経験したとしても、産業全体の成長余地が大きければ再び上昇軌道に乗るのも早いというわけだ。

例えば今回のコロナ禍では、ロボティクス、バイオ医薬、そして生活密着型テクノロジーといったテーマが、成長産業として底力を発揮した。いずれも比較的新しいテーマだが、コロナ禍がもたらすであろう今後の産業構造の変化に、大きく関係していることは明白である。

ちなみに、「生活密着型テクノロジー」とは筆者がつけた呼称で、「巣ごもり」生活を充実したものにするための技術革新だと考えてほしい。この分野は、アマゾン、マイクロソフト、グーグル(アルファベット)、ネットフリックスといった米国の巨大IT企業がリーディングカンパニーとして知られているが、それ以外にも新興のいわゆるユニコーン企業が次々に誕生している。こうした企業を個人で発掘し、直接投資することは極めて難しい。テーマ型ファンドを活用する理由の1つは、世界中の新興企業にも間接的に投資ができることにある。

「なぜその銘柄を組み入れるのか」という根拠に注目

最後に、具体的なファンドを選ぶ際に重要なポイントについて触れておこう。

筆者がテーマ型ファンドを評価する際、特に注目しているのは、銘柄選定の根拠がみられるかどうか、である。例えば前述した米国の巨大IT企業は、今や数多くのアクティブファンドに組み入れられている定番の銘柄だが、言い方を変えれば、幅広い投資テーマに当てはまってしまう。

これら「オールマイティー型」銘柄の組み入れ自体を否定するわけではないが、インデックスファンドでも間接的に投資できるそれらの銘柄群をあえて組み入れる理由がどこにあるのか。特に投資家が複数の投資信託を保有している場合、必然的に銘柄の重複も多くなってしまうため、この点は慎重に評価するようにしている。

繰り返しになるが、投資信託の魅力の1つは、個人で発掘することが難しい企業の株式にも投資できる点にある。テーマ型ファンドは、相応のコストをかけて運用するからこそ、付加価値を提供して然るべきである。そして何より、販売サイドと投資家の双方が短期の収益追求に終止符を打つこと。これこそが、テーマ型ファンドのさらなる発展を左右するカギと言えよう。