買い入れ対象のETFは個人でも購入できる

日銀が実際にいつ、どれくらいETFを買っているのかは、日本銀行の企業サイトで誰でも気軽に確認できる。そこで気になるのは、日銀の買い入れ対象となっているETFを、私たち一般投資家も買うことができるのか、という点だ。

結論から言うと、購入できる。

日銀は買い入れ対象を「国内の金融商品取引所に上場されている指数連動型上場投資信託受益権等」としている。要するに、日銀が買い入れているETFはすべて東京証券取引所に上場している銘柄のため、個人でも購入することができるわけだ。

買い入れの対象指数となっているのは、主に「東証株価指数(TOPIX)」「日経平均株価(日経225)」「JPX日経インデックス400(JPX日経400)」の3つ。つまり、この3つの指数に連動するETFを購入すれば、日銀のETF買い入れの恩恵を享受できると言っていいだろう。

日銀ETF買いの「出口戦略」に対する懸念

株価の下支えの役割を果たす日銀のETF買いだが、懸念点もある。それは、日銀が購入したETFをいつ売却するかだ。

これまで、日銀は買い入れたETFを売却していないとみられている。しかし、財政面を踏まえて考えると、永遠に年間6兆円というペースでETFを買い続けられるとは言い難い。また流通する株式にも限りがある。

つまり、いずれは買い入れをストップしたり、保有しているETFを売却したりといった「出口戦略」に向かうことが予想される。となると現実的に起こり得るかどうかは別として、仮に日銀が持っているETFを全て売り出せば、株価に対する影響は非常に大きなものになるのも容易に想像できる。

あるいは日銀が売却を正式に公表しなくとも、買い入れ額の縮小や停止を匂わすアクションを起こせば、マーケットでは悪材料とみられて株式を売る動きが広がり、株価が値下がりする可能性も十分に考えられる(ちなみに2018年7月末の金融政策決定会合で日銀はETFの買い入れ額について「上下に変動し得る」と方針の変更を示したが、長・短金利も対象に含めた緩和継続も示し、相場は大きく動かなかった)。

しかし、出口に向かう理由によっては、影響を最小限に抑えられるとも言われる。

過去の例では、アメリカはリーマン・ショック後に景気が回復し、金融緩和を続ける必要がなくなったため、中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が資産の買い入れ額を徐々に減らしていった。ただ、この過程で大幅に株価が下がることはなかった。日本においても、景気の回復に従ってETFの買い入れ額を徐々に減らしていくことができれば、市場が大きく混乱する事態は防げるのかもしれない。

とはいえ、これは楽観的な予測でしかなく、日銀のETF買い入れが将来の株価にどのような影響を与えるのか、やはり現時点では分からない。

株価の変動が予測できない以上、自分がコントロールできる範囲でリスクヘッジを行いたい。例えば、日本の市場だけに投資をしていては、将来的に日銀のETF売却の影響を受けるかもしれない。となると、資産形成の原則でもあるグローバルに分散投資を行っておくことで、資産の大きな目減りは軽減できるのではないだろうか。

将来的に発生する可能性のあるリスクを最小限に抑えるためにも、やはり投資における長期・分散・積立という3つの基本を守ることが鍵を握るはずだ。