新型コロナウイルス感染による影響の拡大を踏まえて、2020年3月16日に日本銀行は「金融緩和」の強化を発表した。そして2020年12月現在、コロナウイルスの感染が再度広がるなか、現行の金融緩和政策も長期化すると予想されている。

今回のコロナ下で、メディアなどで見聞きする機会がさらに多くなったこの「金融緩和」という言葉。金融緩和を行うことは、なぜ景気の回復につながるのか。その仕組みはもちろん、景気への影響について解説していく。

金融緩和によってなぜ景気は回復するのか?

金融緩和を簡単に説明すると、日銀が国債を買い上げたり、政策金利(民間の銀行に融資する際の金利)を引き下げたりして世の中に出回るお金を増やすことを指す。国内の景気が悪化した際に、底上げを期待して実施される金融政策だ。

金融緩和を行った結果、銀行は貸し出しに回せる現金が増えるだけでなく、融資の際の金利も下がることで、企業や個人はお金を借りやすくなる。

資金を確保できれば、企業にとっては新規事業や設備への投資が増え、さらなる業績拡大につながる可能性が高まる。その結果、外部への支払いや従業員に支払う給料が増えれば、個人の消費も進むことが予想される。また個人にとっても、例えば住宅購入においては金融緩和が住宅ローン金利の引き下げにつながり、融資額や返済面で有利になることもある。

企業の設備投資や個人消費が進み、経済活動がより活発になると、景気は上向くと一般的には考えられている。これが、金融緩和によって景気が回復するまでの一連の流れだ。