年金運用機関「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」が2020年4-6月の四半期に過去最高の運用益 を記録した。日本銀行のETF(上場投資信託)買い入れなど、新型コロナウイルス対策の世界的な金融緩和による国内外の株式上昇が後押しになったという。

ちなみにGPIFとはGovernment Pension Investment Fundの略で、Pensionには年金という意味がある。日本語でペンションというと郊外にある小規模な宿泊施設がイメージされるが、こちらはフランス語に由来する。GPIFに話を戻すと、2001年度から2020年度(第2四半期)までの約20年間で、累積収益額は約74.9兆円、収益率は年率3.09%とプラスの成績をあげている 。運用する資産は160兆円 以上と、2020年度の国家予算である約102兆円 を上回り、世界最大の機関投資家としても知られている。

私たちの年金の財源を増やすために、長期投資を実践するGPIF。その運用手法について、扱う金額の規模が大きすぎるがゆえに、個人投資家にはあまり関係ないと思うかもしれない。しかしGPIFが実践する運用には、私たち個人投資家にも真似できる点がある。

国家予算を上回る資産を運用するGPIF、その役割とは?

そもそもGPIFとは、公的年金を給付する際の財源の一部となる積立金の管理・運用を行う機関だ。運用によって得た収益は私たちの年金にあてられる。『アフターコロナで投資の常識に! ESG投資が最注目のワケ』の記事でも触れたが、ETFの購入などを通じてESG投資も実践している。

日本の年金制度は、現役世代が納めた保険料をそのときの高齢者に年金として支給する形で運営されている。今以上に少子高齢化が進むと、保険料を納める現役世代はさらに減少する。そのため、将来的に支給される年金が少なくなる可能性が指摘されている。

そういうわけでGPIFには将来に備えてまだ使われていない保険料を積立金として運用し、少しずつ増やしていく役割がある。GPIFが運用する積立金は、あくまでも年金制度を継続させていく資金であるため、長期的かつ安定的に収益を出していく運用方針が求められるのだ。