ナギの治療で知った現実

しばらくして検査が終わり、ナギの状態について説明を受けた。幸いにも大きな病気ではなかった。毛づくろいで飲み込んだ毛がうまく排出されず、体調を崩していたとのことだった。新しい環境によるストレスも影響した可能性があると、医師は説明した。

ナギは点滴を受け、さらに飲み込んだ毛を便と一緒に排出しやすくする薬を処方され、しばらくは自宅で様子を見ることになった。まだ経過観察ではあるが、とりあえず大きな病気ではないと分かって、茉莉は胸をなで下ろした。隣の稜人も安心したように優しい目でナギを見つめていた。

ナギをキャリーケースに戻し、茉莉たちは待合室に戻った。点滴を受けたナギは相変わらず横になったままだが、顔色がよくなったように見えた。

「今回のお支払いは13,200円になります」

金額を聞いて稜人は目を丸くしていた。すると、受付の女性はすぐにそれを察し、説明をしてくれた。

「レントゲン検査や点滴、それと薬などもありますので、この金額になります。ペット保険に加入されていれば、補償内容によっては自己負担額を抑えられる場合もあるんですけど…」

「あ、いえ、入ってないので……、じゃ、はい……」

稜人はすぐにお金を支払い、2人は病院を出た。

茉莉は帰宅の車中で先ほどの料金について考えていた。もちろん高すぎると文句を言うつもりはまったくなかった。ナギが元気になるためなら、この出費を惜しいとはまったく思わない。

ただ、さすがに自分の認識不足を感じてはいた。一度体調を崩しただけでこれだけのお金がかかるとは想定していなかった。きっとこれからもナギと一緒に生活をしていけば、想定外の出費が出てくるはずだ。そう考えると、金銭的な備えが必要になると、茉莉は感じていた。