高配当株の相談のはずが…ターゲットは「マンション購入」
FPの石倉さんに面談をお願いしたのは、必ずしもマンション購入について相談したかったわけではありません。
梨沙の親友の麻実ちゃんが昨年結婚した時に石倉さんの面談を受けて核心を突いたアドバイスをいただけたと喜んでいたのを聞き、梨沙が麻実ちゃん経由で石倉さんにお願いしたところ、たまたま、このタイミングになったのです。梨沙としては、証券会社出身の石倉さんに高配当株投資について、いろいろ聞きたかったようです。
石倉さんは「歯に衣着せぬ物言いをする人」と聞いていたので、怖めの年上女性を苦手とする僕は戦々恐々でした。
そして、梨沙の後ろに隠れるようにしてついていった石倉さんの事務所で、恐れていた石倉さんの辛口アドバイスがさく裂したのです。ターゲットになったのが、まさにそのマンション購入の一件でした。
指摘された「50年ペアローン」の思わぬリスク
まずは、借り入れの大きさとペアローンが槍玉に上がりました。
「少し前の低金利時代なら長く借りて少しずつ返す作戦も有効だったけれど、これから金利が上がりそうな時に億単位のローンを組むってどうかしら」
「そもそも50年もローン組んだら、どれだけ利息が付くと思ってるの? 5000万円ずつ借りたら、金利1%でも利息を1300万円以上払うことになるのよ。2人でざっと2700万円。金利が上がればもっともっと利息が増える」
「ペアローンはね、夫婦が幸せな時はいいの。たくさんローンを組めるし、それぞれが住宅ローン控除も受けられるし。でも、不幸になった時は大変よ」
「これから結婚する人の前で縁起でもないと思われるかもしれないけれど、今は3組に1組が離婚する時代。離婚することになっても、ペアローンの返済義務や連帯責任はしっかり残ります。そのせいで、自宅を売却しようとしてもローン残高が評価額を大きく上回るオーバーローンの状態で売るに売れないとか、元配偶者が滞納や自己破産でローンを返せなくなった時にはその分も請求されるとか、トラブルが尽きない。私もその手の相談を山ほど受けてます」
びびりの僕などはそれだけですっかり震え上がってしまいましたが、梨沙は石倉さんに疑問点を1つ1つ確認しながらメモを取っていたので、「こいつ、すげぇな」と改めて見直しました。
